生成AIの普及と進化が、転職市場を大きく動かしています。
この変化の中でどんなスキルを持つ人材が、転職市場で高く評価されるのでしょうか。本記事では、現役のAIエンジニアが、最新の市場動向を分析し、AIエンジニアに求められるスキルと将来性を考察します。
関連記事:【人工知能業界】AIエンジニアが選ぶおすすめ転職サイト・転職エージェント
この変化の中でどんなスキルを持つ人材が、転職市場で高く評価されるのでしょうか。本記事では、現役のAIエンジニアが、最新の市場動向を分析し、AIエンジニアに求められるスキルと将来性を考察します。
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【2025年度下期】生成AIの転職市場・中途採用動向
・転職市場は引き続き活況。ほとんどの業界で中途採用が増加・維持の見込み。JACリクルートメントのレポートでも、15業界中13業界で採用動向が「活況」と予測。
・生成AI活用・DX推進のフェーズが、単なる試験運用やPOCから業務プロセス全体の見直し・効率化、本格導入へと移行。企業の採用基準にもAIリテラシー・経験が入ってきている。
・企業が単に人を増やすだけでなく、業務プロセス全体を見直し、業務効率化を進める中で、AIを活用できる、DXを推進できるといった人材の評価が高くなる見込み。
・企業が単に人を増やすだけでなく、業務プロセス全体を見直し、業務効率化を進める中で、AIを活用できる、DXを推進できるといった人材の評価が高くなる見込み。
・リクルートエージェントによると、2017年度と比較して2024年のAI関連求人(エンジニア系)は約6.6倍に増加。営業・企画・管理部門など非エンジニア系の求人でも増加が確認されている。
参考元:
・「2025年転職市場・中途採用動向|15業界全業界が引き続き活況と予測」JAC Recruitment
・「転職市場予測2025下半期 〖doda編集長とキャリアアドバイザーが動向を解説〗」doda
・「AI関連求人は7年で約6.6倍に拡大、AIへの興味や経験が転職につながる」monoist
AIエージェント設計者に求められるスキルと将来性
転職市場動向から、2025年下期のAIエンジニア・AIエージェント設計者に要求されるスキルと将来性を考察します。①やっぱりビジネス理解は避けされない
技術スキルだけでなく、ビジネス課題をよく理解し、AIソリューションを設計・実装できる能力が重要になるというのは不可逆性の流れ。機械学習のようなゼロからAIモデルを作ることはほぼなくなり、すでにあるLLMをどう利用するかが論点であるため、エンジニアがビジネスを理解して、AIモデルがビジネスにどのような価値をもたらすのかを説明し、関係者を巻き込んでプロジェクトを推進できるようなことが求められてくるのは間違いなさそう。
なので金融業界、製造業界などの業務知識があると重宝される。業務知識がないと、用語の意味が分からなかったりしてそもそもまともなプロンプトが書けない。
②RAG・AIエージェントを活用したプロジェクト経験は高値で売れる
市場活況と生成AI全盛で、RAG・AIエージェントを活用したプロジェクト経験者は、高い年収を得られる傾向があるのは間違いなさそう。
単にOpenAI APIを叩いてアプリ作りました、というのは簡単にできるが、RAGは意外と難しいし、AIエージェントはもっと難しい。RAGの検索精度を業務的に求められる水準まで改善できる人材は、これほどRAGが浸透している現状でもまだまだ少ない印象。生成AIのプロジェクト失敗はこのあたりに起因していることも多い。
一方AIエージェントの業務検証は、やっと2025年上期に本格的に始まった印象で、良質な書籍も出てきており、気鋭のエンジニアがこぞって勉強して、手探りで業務検証している。
AIエージェントの業務活用は本当に大変で、たくさんのマニュアル・規約類を読んで、業務担当者からヒアリングして業務フローと専門用語を一つ一つ理解し、AIエージェントで再現したい処理フローを整理して、LangChain・LangGraphで実装して、評価して改善して、ということを実施している。
できる人材も少なく、需要は膨大なので、この経験はまあ間違いなく市場で高値で売れる。単にOpenAI APIを叩いてアプリ作りました、というのは簡単にできるが、RAGは意外と難しいし、AIエージェントはもっと難しい。RAGの検索精度を業務的に求められる水準まで改善できる人材は、これほどRAGが浸透している現状でもまだまだ少ない印象。生成AIのプロジェクト失敗はこのあたりに起因していることも多い。
一方AIエージェントの業務検証は、やっと2025年上期に本格的に始まった印象で、良質な書籍も出てきており、気鋭のエンジニアがこぞって勉強して、手探りで業務検証している。
AIエージェントの業務活用は本当に大変で、たくさんのマニュアル・規約類を読んで、業務担当者からヒアリングして業務フローと専門用語を一つ一つ理解し、AIエージェントで再現したい処理フローを整理して、LangChain・LangGraphで実装して、評価して改善して、ということを実施している。
③AIエージェント設計経験の価値は意外と長続きする
上述のAIエージェントの業務導入は、生成AIが賢くなると生成AI自体がやるようになるので、数年後には不要になるのではという懸念がある。確かに、実装部分は自動化される可能性が非常に高い。業務要件と参照ドキュメント類を与えれば、生成AIがAIエージェントを設計・実装することもできる可能性が高い。
となると、AIエージェント設計者の仕事は減るかというとそうではないと思われる。というのも、AIエージェントが行う判断処理や検索処理で、原理的に実現できないということが起こるからだ。人間はこう判断して欲しいが、LLMが持つ一般知識では同じ判断できない場合や、検索したい情報が検索元のドキュメントに入っていないなど、原理的に実現できない部分が結構ある。
参考記事:なぜAIエージェント設計スキルは廃れないのか
また、近い将来、要件定義を生成AIが支援することは考えられるが、現実は言語化できていない要件(人間の中にある暗黙的なルール)が多く、判断基準を言語化できていないので、当然AIエージェントは正しい判断ができない。
つまり、AIエージェントを作るハードルは今後下がるが、それを業務活用するレベルまでに持っていくことは、生成AIがいくら賢くなっても、結構難しいのではと思っている。なので、いろんな会社や業務部門から、「AIエージェント作ってみたけど精度が低い、使えない」という言葉をこれから嫌というほど聞かされるようになるのではと思う。
そのため、経験を積んだAIエージェント設計者は、これから膨大な数のAIエージェントが作られる中で、よく言えばコンサルのようにアドバイザー的に入ったり、悪く言えば炎上プロジェクトの火消しのような役割を、ここ数年はさせられるのではないかと考えている。
逆にいうと、AIエージェントの実務経験を積むことが転職市場で勝ち抜く方法と言える。
関連記事:生成AI時代のITエンジニア向け転職エージェントの選び方
