僕は営業という仕事は好きではない。
顧客に頭を下げて商品を売ることなどは、なんのスキルもない人間が、社会の中で収入を得るための最後の砦だと思っていた。
だから、営業と言う職種を見下してきた。
技術が分からない人間が、技術の結晶であるプロダクトを売ることに滑稽さすら感じていた。



しかし、和田創さんのブログを読んで、僕の価値観は少し変わった。
http://wadasou.net/
大量の文章量なので、一部をざっくりとしか読めていないが、まず最初に気付いたことは、僕は今までいろんな人に営業活動をしてきたということだ。
学校の面接試験、就職活動、社内での評価面接、女の子とのお茶やデート、パーティでの人脈構築など、自分と言うプロダクトの営業活動をしていることに気付いた。
そうやって自分を売って評価して貰えれば、その相手と人間関係を構築することができた。逆に、評価して貰えなければ人間関係は続かなかった。

つまり、営業活動の成果は人間関係なのではないかと思った。
いや上司に評価されればボーナスが上がるし、顧客に商品を売れば売り上げがあがるけど、それはビジネスとしてサービスの授受が発生しているからで、その底流にはお互いの人間関係が基本となるのではないかと思った。
そうなると、営業の仕事は、物を売ることが仕事ではない。
営業の仕事とは、「まず人間関係を構築すること、そして最適なサービスを提供する機会を探すこと」となる。

営業の人から見れば当たり前なのかもしれない。
でも僕は今までこの部分を理解していなかった。
個人営業の飛び込み営業のイメージが張り付いて、どうしてもそのイメージを脱却できなかった。
こう考えると、営業と言う仕事は、もはや職種でなく、生き方といえるのではないか。
なぜなら、人間関係を構築する事は、全ての人間が等しく行うことだからだ。
つまり、職種として営業業務を行っている人は、その人間関係を構築する能力が人より高いため、会社を代表して会社間の人間関係を構築していることなのだろう。
そう考えると、誰でも必要になる人間関係の構築能力を、会社からお金をもらって高められるので、なかなかお得な職種だと思った。


和田さんの言う営業の仕事は「より金持ちと、より有効な面談を、より多く持つ。」というのも、そう考えるとなんとなく理解できる。
要は、サービスを提供する機会が多そうな顧客と多くの人間関係を構築することが営業の仕事なのだ。

では、営業力とはどういうものか見てみたい。和田さんは、営業生産性という概念で説明している。

業績=商談単価×商談件数×商談成功率

商談件数は、どれだけ顧客を訪問したかだ。積極的に顧客にアプローチすることが求められる。
次に、商談単価だ。おいしいものを食べたい人に10円のチロルチョコを売ってもいいが、できればその人がもっと喜ぶかつ丼を提供したい。そうすれば顧客も喜ぶし、自社も喜ぶ。
商談成功率は、どの程度の確率でその商談が成功するかだ。人間関係を構築して、顧客と仲良くなり、顧客の課題を把握し、顧客にそれを解決するソリューションを理解して貰っていれば成功率は上がるだろう。もちろん時間はかかるが、その辺りの見極めは営業センスと言われるところかと思う。


最後につらつら思うのは、人間は誰でもそうなのだろうけど、特に技術者は、年をとるごとに思考が固まり、偏屈で固くなる人が多い。
それは、自然科学という絶対的な真理を扱い、追究する中で、どうしても避けられないことのように思う。
いつも同じメンバーと同じような技術に毎日触れているのだ。自分の腕で物を作っているプライドもある。

しかし、営業は違う。日々異なる人と会う。そこで時には偉そうな客に人間性を否定されるようなことを言われる。
その中で、人間関係を構築して、自社のサービスを提供する機会を探る。
きっとこの過程で人間性が磨かれるのだろう。
特に技術系ベンチャー企業の営業部長は、謙虚で、スマートで、人当たりがよく、頭の回転が速く、プロダクトを理解し、こちらの考えをすぐに把握してくれる優秀な方が多かった。
あの人たちをモデルに、自分も凝り固まらず営業力(≒人間関係構築力)を高めていきたいと思った。

補足

少し前に、SPINが流行りましたが、今も研修などはされているようです。本質的なノウハウを教えているので、営業担当者や大学生にお勧めです。




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