ITエンジニアと一言で言っても、「システムエンジニア」「Webエンジニア」「AIエンジニア」など様々な種類があります。未経験からIT業界を目指す人にとっては、どれを選べばよいのか迷われると思います。
本記事では、未経験から自分に適性の高いエンジニア職を見つける方法を、実体験を踏まえて解説します。

参考記事:未経験からAIエンジニアになる方法

自分の適性を知っている人は少ない

多くの人達は、自分自身の仕事の適性を発見できていません。なぜなら、学校では教えてくれないからです。

学校は、サラリーマン育成所です。与えられた問題を解く方法は教えてくれますが、問題を発見する方法は教えてくれません。

そして学校を休まないことや、教師の指示に服従すること強制してきますが、自分自身の才能を発揮する方法は教えてくれません。教師がいくら無能であっても、その指示を破ることは社会性がないという烙印を押されます。学校の成績が良いことと、自分の適性を見つけることには因果関係はありません。

また、会社でも同じです。人事部が決めた最初の配属で仕事内容が決まり、それ以降自分の適性を見極める機会は与えられません。会社の論理がすべてです。

ここで、村上春樹氏の名著ノルウェイの森から永沢さんの言葉を引用します。
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「努力というのはもっと主体的に目的的になされるもののことだ」
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他人から言われたことをこなすのは努力ではありません。自分自身の人生を生きるため、幸福な職業人生を歩むためには、自分がやっていて楽しい仕事を発見する必要があります。適性がある仕事とは、自分が楽しめる仕事です。

発見するには、いろんな仕事を見たり聞いたり経験したりというような思考錯誤が必要です。この試行錯誤を「努力」と言います。

楽しい仕事をすると急速に成長する

働いていて楽しいと感じる仕事は、本当に短期間で成長できます。今のスキルはあまり関係ありません。楽しいと思える仕事を見つけ、そのスキルを実務で使うことが全てです。これ以上の成長はありません。

僕自身は、最初は新卒で入社した会社で、企画の仕事をしていました。ただ心の中にずっと「エンジニアの仕事がしたい」という気持ちがありました。

エンジニアと一言で言っても、企業のソフトウエアを作る「システムエンジニア」や「インフラエンジニア」、個人向けのサービスを作る「Webエンジニア」や「アプリエンジニア」などたくさんあります。その中で、「AIエンジニア」になることを選びました。
プログラミングの経験がなかったので、商用ベースのプログラミングができる自信がなく、むしろプログラミングを道具として価値を生み出すAIエンジニアに適性があると感じたからです。

選んだあとの成長は、自分で言うのもなんですが、かなり早かったと思います。AIの知識はおろかプログラミングの知識もゼロでしたが、1年くらいで独り立ちできるようになりました。

成長の理由は、転職してAIエンジニアの実務経験を積めたことが大きいですが、一番の理由は、日々の仕事や勉強が楽しかったからです。仕事が楽しいと感じられることは最強です。嫌でも力はついてきます。

参考記事:AI人材になるにはスキルよりまず職種を選択しよう

自分自身のエンジニア適性を知る方法

では具体的にどのような努力をすればよいのでしょうか。3ステップあります。

①方向性を決める
②アンテナを張る
③飛び込む


①方向性を決める

世の中が変化し続ける以上、完璧なキャリアプランを作成することは現実的ではありません。しかし、自分が大きくどの方向に進んでいきたいか、キャリアの方向性は決めておいた方が良いです。

エンジニアであれば、コミュニケーションが得意な人は、顧客との要件を決めていくような上流SEやプリセールスなどの営業技術が向いているかもしれません。

また、プログラミングが得意な人やクリエイティビティに富んだ人は、Webエンジニアやアプリエンジニアが向いているかもしれません。

僕の場合は、数値的な分析が好きだったこと、世の中の法則を発見したいという好奇心があったので、AIエンジニアを選びました。

職種レベルに落とし込めなくとも、ざっくり「ソフトウェアかハードウェアか」、「マネジメントかスペシャリストか」、「SIerかWeb業界か」などの方向性は決めておくと良いでしょう。

分からなかったら、以下の質問を自分に投げかけてください。
・これまで仕事をしていて、楽しかった/苦にならない仕事は何だったか?
・3年後にどのような仕事をしていたいか?
・周囲にこの人みたいになりたい!という人はいるか?なぜそう思ったか?

ちなみに以下の項目で3つ以上当てはまる人は、AIエンジニアに向いていると感じます。
人工知能ブログ画像2

②アンテナを張る

キャリアの方向性が見えてきたら、アンテナを張って情報収集し、情報を持ってそうな人にアポイントしてみます。

アンテナを張っていると自然に必要な人に出くわします。そこで自分の思いをぶつけると、異動や転職の声がかかってきたりします。

コツは、社内では会社を主語とすることです。もし、あなたが希望部署に異動したいならば、自分はこんな準備をしてるのでやらせて欲しいと提案することです。会社と言うのは、個人の都合は無視されますが、社長視点や部長視点の提案は歓迎されるという構造になっています。

また、社外では自分を主語とすることです。社外で会社の看板を振り回しても仕方ありません。自分という人間を評価して貰うのです。

自分の時間の5%を社外の人に使うということを意識してみてください。例えば、勉強会を主催してネットワークを作り、そこから一緒に新しいサービスを作ろうみたいな感じです。

自分一人で考えるより、他人の助けを借りる方が適性を見つけやすいです。僕自身も、何人もの転職エージェントにキャリア相談をして、自分の適性を見つけていきました。

参考記事:転職エージェントにボコボコにされて未経験からAIエンジニアに転職した話

③飛び込む

自分の適性が分かってきたら、その分野に飛び込みましょう。具体的には転職活動を始めていきます。転職活動の方法は、転職エージェント経由で行うことが一般的です。

最近では、SNS経由での採用が流行っており、LinkedInやTwitterで経歴を載せておくと、ヘッドハンターから声がかかることもあります。

ただ、初めての転職活動で合ったり、未経験からエンジニアを志望する場合は、転職エージェントから推薦された方が内定獲得の確率が高まります。なぜなら、職務履歴書の書き方や、企業の内情を転職エージェントに確認して面接に臨めるからです。

参考記事:【人工知能業界】AIエンジニアが選ぶおすすめ転職サイト・転職エージェント

おわりに

最後に、ロシアの作家マクシム・ゴーリキーの「どん底」から引用します。
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「仕事が楽しみなら人生は極楽だ。仕事が義務なら人生は地獄だ」
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人生に主体性を発揮すること、そのために具体的な一歩を踏み出すことが、仕事を楽しむためのカギになるのだと思います。