ITエンジニアで、「自分の年収を上げたい」と思っている人は多いのではないでしょうか。
「シリコンバレーのエンジニアは年収3000万円」「富士通など日系大手が年収最大4000万円で技術者を厚遇」など、今のIT業界は札束が飛び交っています。
では、具体的にどうすれば年収はアップするのでしょうか。年収を上げる方法について解説していきたいと思います。
転職エージェントに言われた「リーダー経験の重要性」
先日転職エージェントのOさんと、カフェで話していた時に「エンジニアが年収を上げるためには何をすればよいですか」と質問してみました。Oさんは少し考えて、「リーダー経験を積むことですね」と回答されました。
「リーダー経験は、新卒でも中途採用でも高く評価される。エンジニアでも同じ」
「特に中途採用では、与えられた仕事をこなすだけの人より、自ら考えて動ける人材であることが望まれる」
「35歳を過ぎると、管理職や事業責任者ポジションの募集も多い。リーダー経験があると高待遇で転職が可能」
「エンジニアを束ねる人材が急速に不足している。開発現場をリードできる人が欲しい」
とのことでした。リーダーシップを取れるエンジニアは、今の転職市場で高く評価されるようです。
参考記事:転職エージェントにボコボコにされて未経験からAIエンジニアに転職した話
自社や顧客をリードできるITエンジニアは年収が高い
出典:DODA「平均年収ランキング 最新版」
2018年の技術系(IT/通信)の職種別年収ランキングを見てみました。緑色の列がDODAからの引用で、ピンク色列は私の追加分です。
中身を見てみると、年収が一番高い職種は、プロジェクトマネージャーでした。最もリーダーシップが求められそうな職種です。また、プリセールスやITコンサルタントは、顧客のIT活用をリードする職種です。求められるリーダーシップはかなり高いでしょう。
一方研究開発は、求められる技術水準は高いですが、マネージャーやコンサルに比べるとリーダーシップの要求度は高くないと言えます。そのため、年収はやや低めです。
確かにリーダーシップを要求される職種の方が、年収が高い傾向にあると言えます。「リードエンジニア」と言う言葉もありますが、平均年収は702万円でした。また日本のCTOの平均年収は、「1300万円+ストックオプション」あたりが相場のようです。
リーダーシップがあると年収が高くなる理由
ITエンジニアは高度な専門職です。なぜリーダーシップがあると年収が高くなるのでしょうか。理由は、「上流工程」と「昇格人事」で説明できるように思います。
理由1.上流工程ほどリーダーシップが求められるから
IT業界では、上流工程ほどお金を稼ぐことが出来ます。実は、上流に行けば行くほど年収が高くなるのはIT業界に限りません。メーカーなども同じです。お金と言うのは、お金を持っている人の近くにいる方が稼げる構造があるからです。そして上流工程になるほど、リーダーシップが求められます。仕事の抽象度が上がるからです。抽象度が高い、つまり先が見えない状況の中、ゴールと目標を設定して、プロジェクトの計画を練り上げ、先頭を走るのがリーダーです。
上流ではステークホルダーも多いため、様々な利害調整も必要になります。ただ技術があればできる仕事ではありません。仕事の全体像をとらえ、周囲の人々をフォローしていく力が求められます。
最上流の仕事と言えば、マッキンゼーやBCGなどの戦略コンサルティングファームが代表例ですが、戦略コンサルタントの多くはリーダーシップがかなり高いです。リーダーシップなしで、新しい仕組みや変革を描き、実行することはできないからです。
理由2.リーダーシップがあると昇格しやすいから
身もふたもないですが、リーダーシップがあると見なされる人は、会社から選抜され昇格しやすいです。一度昇格して経験を積めば、中途採用でも管理職待遇で転職できるでしょう。中途採用でのCTO職や事業部長ポジションは、基本は経験者を採用します。そのため、どこかの会社でリーダー経験を積まないと、上位役職に採用されないという構造になっています。
一般的にITエンジニアの仕事とは、最短で効率良くゴールにたどり着けるのかを考えて、途中に出てくる課題を解決することでしょう。それも難易度が高く専門性が高い仕事なのですが、もう一歩広い視点で仕事を眺めてみませんか。
例えば、サービス全体の事を考えたり、開発プロジェクトをリードすることは、全体への影響度が大きいため、年収は高くなる傾向になります。
・設計書通りにプログラミングをするエンジニアから、顧客要求を整理して設計書に落とし込むエンジニアに。
・開発メンバーとしてアサインされるエンジニアから、プロジェクト計画を練り上げ、経営会議に予算を要求し、サービス開発を主導するエンジニアに。
・サービスの保守運用するエンジニアから、サービス全体の設計を考え、導入技術を検討し、企画メンバーとビジネスモデルを議論できるエンジニアに。
上流に行くほどプロジェクトの影響力が大きくなり、年収も高くなるイメージを持てるのではないでしょうか。
関連記事:AI人材の年収が高い理由は?|SEがAIエンジニアに転職すべき2つの理由
プログラミングが出来ないマネージャーが、プロジェクトを炎上させている姿を、私たちはたくさん見てきたはずです。技術的な指導が出来ないマネージャーが、立場を利用してメンバーを恫喝するケースもあります。メンバーが報告しても、内容を正確に理解できずに、正しい打ち手を打てないマネージャーもいます。
エンジニアがリーダーにならない組織は滅びる
こんなことを書くと、「エンジニアの仕事は開発業務で、リーダーシップや上流は別の人の役割」と言われるかもしれません。しかし、エンジニアがリーダーシップを発揮しないで、いっただれが開発案件を率いていくのでしょうか。プログラミングが出来ないマネージャーが、プロジェクトを炎上させている姿を、私たちはたくさん見てきたはずです。技術的な指導が出来ないマネージャーが、立場を利用してメンバーを恫喝するケースもあります。メンバーが報告しても、内容を正確に理解できずに、正しい打ち手を打てないマネージャーもいます。
IT業界は優秀なリーダーシップの総量が足りていません。VCから年間1300億円以上の投資マネーが流れ込むITベンチャー界隈も、CTOやCTO候補を喉から手が出るほど求めています。
現役のITエンジニアは、プロジェクトやサービスに対してリーダーシップを発揮し、後輩に道を開いていって欲しいです。
リーダーシップを身に付ける方法
リーダーシップは後天的なスキルです。日々の仕事の中で伸ばすことが出来ます。伸ばす方法を3つ紹介します。1.後輩や新人の育成担当を買って出る
経験こそ成長の母です。後輩や新人の育成担当に手を上げてみましょう。育成のコツは、聞く耳を持つことです。簡単なようで非常に難しいです。意識して後輩の意見に耳を傾けて、適切なフィードバックをしてあげてください。リーダーとは、多くの人達の意見に耳を傾け、分析し、次の進むべき道を決める人です。後輩指導は良い予行演習になります。
2.会議でホワイトボードの前に立つ
会議の場でぼうっと聞いている人は、存在価値がありません。会議で論点が混迷した場合、さっと立ち上がってホワイトボードの前に立ち、議論を可視化してみましょう。コツは、参加者の意見を聞いたら、意見を皆が分かるように言い直してあげることです。いわば翻訳家です。
様々な意見を全体像の中でとらえ、論点を整理して議論のポイントを明確化することができれば、あなたはオーケストラの指揮者のような役割を演じていることでしょう。最後に拍手はもらえませんが賞賛はもらえるはずです。
3.新サービス開発に手を上げる
新サービス開発は、リーダーシップを育成する最大のチャンスです。新しい仕事は不確実性が高いため、ゴールを設定し、解決策のステップを検討することが重要になってきます。ゴールはただ設定するだけではダメで、ゴールを達成した状態を、自分の言葉でメンバーに伝えていかなければなりません。いわばリーダーとは、ゴールまでのストーリーを語る人なのです。そして新しいことにチャレンジすると、だんだんと新しい仕事が怖くなくなります。逆に簡単な仕事ばかりしてると怖くなるので注意が必要です。どうしても怖くなったら、「失敗しても会社が損するだけ」と心の中で3回唱えましょう。
4.環境を変える
もしあなたが30歳前後で、今の会社で新サービス開発に関わる機会を得られず、かつマネージャーや管理職になれる見込みもなさそうならば、転職の道を考えた方が良いです。そのまま行くと、会社に飼い殺しにされて、40歳を過ぎてからどこにも転職できなくなるリスクが高まります。技術力勝負のフリーランスの道一本で考えているなら話はやや異なりますが、会社員として働くならなるべく早い時期にリーダー経験を積むように立ち振る舞った方が良いです。
もしこれからのキャリアを相談して今後の選択肢を増やしたいなら、転職エージェントに話を聞いてみる方法があります。
マイナビ IT AGENTは、10年先のキャリアプランを考える方針で運営しており、紳士的で求人者に寄り添った担当者が多いです。
企業の採用責任者から定期的にヒアリングしており、離職率の高い企業や労働時間が長い企業など、職場環境や会社の雰囲気について情報収集している数少ない転職エージェントです。
※本記事には、マイナビのプロモーションを含みます。
転職の体験談:転職エージェントにボコボコにされて未経験からAIエンジニアに転職した話
リーダーシップは人生を主体的に生きるスキル
年収を高めるためには、リーダー経験が重要と言う話を書きました。「VUCA」と言われる激動で不確実性の高い時代、あるべき姿を描いて実行までできるリードエンジニアがますます求められてくるでしょう。またそれ以上に、リーダーシップとは、自分の人生を主体的に生きるスキルではないでしょうか。自分が3年後どうなっていたいか、自分自身にリーダーシップを発揮してみませんか。「自分の人生のハンドルを自分で握ること」、それがリーダーシップの本質なのだと思います。
参考記事:【人工知能業界】AIエンジニアが選ぶおすすめ転職サイト・転職エージェント