人工知能やAIエンジニアの職種が脚光を浴びる中、一定比率で機械学習のプロジェクトが失敗に終わっています。

機械学習はデータ分析の一つであるため、プロジェクトが成功するかどうかは、データを見てみないと分からないという構造的な問題があります。

分析に必要なデータを準備できなければ、プロジェクトは失敗します。
また、分析対象業務に規則性が存在しない場合も、プロジェクトは失敗します。

機械学習プロジェクトには、落とし穴が多いです。

また近年の人工知能ブームで、多くの企業が人工知能や機械学習に関するプロジェクトを立ち上げ始めました。その結果、コミュニケーションに関わる課題が改めて浮き彫りになりました。

AIプロジェクトはAIエンジニアとビジネス側のコミュニケーションから始まる

AI-business
機械学習で何をするのかと言う「分析テーマ」を設定するのは、本来経営者や業務責任者などビジネス側の仕事です。

しかし、必ずしも経営者やビジネス側のAIリテラシーが高いとは限りません。むしろ、低いケースが大半でしょう。

AIエンジニアは、データから価値を生み出す、純然たる知的労働者なわけですが、現実的に「分析テーマ」の設定は、AIエンジニアとビジネス側が意見交換して決めることが大半です。

そのため、AIエンジニアは、ビジネス側の人間に機械学習でできることを説明するという宿命を負っています。もちろんできるだけ分かりやすくです。


これはある意味仕方のない事です。

機械学習で実現できない要件を設定してしまうと、プロジェクトは失敗しますし、ビジネス上の課題を抱えているのは、ビジネス側の人間だからです。

技術や理論だけ分かっていればそれでよい、というわけにはいかない立ち位置です。

ビジネス的、マーケティング的な面も考慮した上で、現実的な解に落とし込んでいくことがAIエンジニアに求められています。

AIエンジニアは社内政治に巻き込まれて潰れる

「分析テーマ」を設定するために、AIエンジニアはビジネス側の人間と意見交換して決めることになると書きました。

では、このビジネス側の人間とは誰なのでしょうか。もちろん会社によりますが、予算を承認する経営者だったり、機械学習を活用する事業責任者だったり、機械学習システムの実務を回す業務推進部だったり、いろいろ顔を出す企画部だったりします。

データ分析に取り組む企業の大部分が大企業です。関係者は多いです。

ここで不幸なことに、AIエンジニアが、彼らの意見を集約して分析テーマを決めるとなった場合、社内政治に巻き込まれることになります。

「aiエンジニアは、上流プロセスから参加します」というと聞こえはいいですが、実際は社内政治に巻き込まれるということです。


新しい部署を作る、AIの予算を確保する、AIを社内に導入するなど、これらすべてに経営者の思いが反映されます。つまり、経営者の思いを汲み取らなければ、プロジェクトが存続できません。

その結果、AIエンジニアにも、社内政治力が求められてきます。これは、非常に酷な話です。

情報科学の最先端にいるAIエンジニアに、利害と感情が渦巻く社内政治に巻き込むことは、海の覇者たるクジラに陸地で活動させるようなものです。

もちろん、経営者やビジネス側のAIリテラシーが高かければ、良い話なのですが、そうでないケースの方が多いでしょう。
AIエンジニアは、自分の仕事を自分自身で守らなければならないのです。


社内政治とは、キーマンからの支持集めゲームです。キーマンの支持を得られなければ、まず予算を確保できません。
なんとも不毛なゲームですが、現実的にこういった部分に気を使わないと、部署ごと吹き飛ばされるのが辛いところです。


まあこんな現状のため、AIエンジニアは慢性的な人材不足になるわけです。人材不足のため、スキル不足の要員がアサインされて失敗するわけですね。デフレスパイラルです。

かと言って、すべての原因をビジネス側に押し付けるのも酷な話です。

AIエンジニア側としても、社長が「アップルパイ」、常務が「アップルケーキ」、部長が「バナナ」と言っていたら、とりあえず共通項のリンゴに着目し(部長はキーマンではないのでいったん除く)、お手軽な「焼きリンゴ」をさらっと提案するくらいの柔軟性は持っていても罰は当たらないでしょう。

アルゴリズムは剣、社内政治力は盾

機械学習のアルゴリズムは、目的変数に応じて分類モデルを作ることができます。
そのモデルは、ビジネスで大きな価値を生む可能性があります。いわば剣です。

一方、社内政治力は、自分や部署を守る盾です。
盾がなければ社内や顧客の攻撃に耐えることが出来ません。

2018年の段階では、剣だけで戦える恵まれた職場は限られています。
また、剣だけで戦える職場には、奇跡の剣やエクスカリバー級の武器を持った、最強クラスの人材がひしめいています。
つまり、剣だけでキャリア構築することは、それはそれで結構ハードルが高いのです。

そのため、盾を鍛えつつ、経営者やビジネス人材と協調しながら、AI導入を進めていく道は、単なるモデル構築だけではなく、組織構築や経営戦略にも関わることが出来るので、非常に魅力的なキャリアを積めることが出来ます

まとめると、AI人材は3種類に分けることが出来るでしょう。

①アルゴリズム系AI人材

剣:稲妻の剣
盾:皮の盾
鎧:Tシャツとジーパン

→プロジェクトの花形。機械学習の論文を読みこなし、最先端の手法をいち早く取り入れ、高精度のモデルを構築できる人材。

②ハイブリット系AI人材

剣:はがねの剣
盾:鉄の盾
鎧:ビジネスカジュアル

→プロジェクトの主役。機械学習プログラミングとビジネスの両方の知識があり、分析テーマ設定からモデル評価、導入まで単独で遂行できる人材。

③ビジネス系AI人材

剣:鉄の剣
盾:はぐれメタルの盾
鎧:黒スーツ

→プロジェクトの調整役。機械学習で何ができるかを理解し、経営者やビジネス側と合意形成できる人材。


①のアルゴリズム系AI人材として楽しく働けるなら素晴らしいでしょう。きっと職場の文化として、機械学習やデータ分析に取り組む環境が整っているはずです。

しかし、これから世界中で始まりつつある機械学習の社会浸透は、これまでデータ分析なんて考えられなかった企業にまで及んでいきます。

もし、あなたが社会人経験が多少あり、機械学習に興味があるならば、②のハイブリット人材を目指してみませんか。必要とされる職場は、うんざりするほどあります。

経営と人工知能が分かる人材という事で、市場価値も急激に高まることは間違いありません。ここは断言できます。


私自身も、最初は社内政治なんてめんどくさい、本業で成果を上げられない無能な人間が取り組むものと思っていました。また実際にそんなスタンスを取っていました。

しかしその結果、苦心して取り組んできた案件の予算承認が下りずに、事業撤退となってしまいました。もちろん、表向きの撤退理由はあるのですが、同じ問題を抱えた他案件は承認されているのを見て、「キーマンにきちんと事前説明を行っておけば…」と後で悔やみました。

社内政治なんてくだらないと思われる方もいると思います。また実際にくだらないです。
ですが、現実という壁を超えるためには、多くの関係者からの支持が必要です。舗装されていない道路を走りたいならば、まずは舗装すべきなのです。

舗装した道の先には、ブルーオーシャンが待っているはずです。

さいごに

AIエンジニアの労働環境は、経営者のAIリテラシーに比例します。
AIエンジニアに転職されたい方は、面接でそのあたりしっかり確認しましょう。

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