人工知能ブームがますます過熱感を帯びています。先週アルファ碁ゼロが、ルールを覚えさせるだけで人間を超えたというニュースが出ました。顧客や上司から説明を求められ、強化学習と教師あり学習の違いを解説したAI担当者も多かったのではないでしょうか。

先月上場したPKSHA Technologyが、時価総額1600億円を超えました。PER700倍、PBR170倍という信じられないような指数が付いています。少しでも株を知っている人なら、この指数がどれほど期待値を織り込んでいるか理解できると思います。

今の人工知能ブームは踊り場はありません。人工知能株式会社は、グローバルで国と企業を巻き込み信じられないスピードで進化し続けています。技術進歩が他の技術の進歩を生み出すことで、指数関数的に進歩しているからです。

本記事では、人工知能開発に携わる著者が、人工知能の最前線をご紹介し、ビジネスパーソンの生き残り方法を提案してみます。

過去記事:これだけは知っておけ!PythonでAI開発の基礎まとめ

目次
人工知能ブームの本命はディープラーニング
画像認識では人間を超えている
音声認識や会話能力も人間を追撃中
人工知能と人間の学習は同じ、スピードが違うだけ
AI時代に生き残る方法はAI人材になること

人工知能ブームの本命はディープラーニング

業界を概観していくと、人工知能ブームの成長エンジンは、ディープラーニングです。
ディープラーニングを一言で現わすと、「非常に複雑な表現ができるアルゴリズム」です。これまでのアルゴリズムとは異なり、ディープラーニングの隠れ層を増やすことで、表現力を無限に高めることが出来ます。

表現力が高まると何が良いかというと、複雑な学習や判断が可能になります。つまりディープラーニングは、隠れ層をたくさん増やすことで、人間の脳を大きく超える可能性があるのです。

ディープラーニングの学習方法
①学習させたいデータ(例:犬の画像データ+犬ラベル)をディープラーニングに入力する
②ディープラーニングが計算処理を行って結果を出力する
③出力結果と教師と比較して、その誤差関数を定義する
④誤差関数を最小化するようにディープラーニングのパラメータを修正する
⑤ ①~④を何度もぐるぐる繰り返すと、だんだん誤差が収束していき学習が完了する

④の誤差を最小化するところが一番のポイントです。
イメージ的には、暗闇の砂漠の中で、最も深い地点を探すことに近いです。分かることは、足元の角度だけ。角度が低い方向に歩いていくことで一番深い地点を探していきます。この角度は、誤差関数を"微分"をして求めます。

意外に単純な学習方法と思われたのではないでしょうか。ディープラーニングは、シンプルなゆえに汎用性があるのです。

参考記事:scikit-learnのディープラーニング実装簡単すぎワロタ

画像認識では人間を超えている

2015年2月にMicrosoftが、画像分類問題で人間を超える精度を叩き出しました。Microsoftは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)というディープラーニングの一種を利用しています。

この1件以来、画像認識分野ではCNNの活用が急激に増加し、大きな成果をあげています。

CNNは、画像の色や形について、正確に特徴を抽出することが出来ます。また、層の計算結果を次の層に渡すかどうかを決める関数を活性化関数というのですが、画像領域で広く採用されているReLU関数という活性化関数は、y=x(ただしx<0では0)と現わされます。y=xは微分すると1になることから、計算が非常に楽で、かつ勾配が消えなくなる問題を解決しました。

ディープラーニングの学習には、過学習や鞍点という致命的な課題もあったのですが、Dropoutによる汎化性能向上や、モーメンタムといった最適化手法など、文字通り日進月歩で課題解決が進んでいます。

結果的に、AIが人間の目の識別能力を超えた事は結構な衝撃です。

音声認識や会話能力も人間を追撃中

耳の分野でも、CNNによって大きな精度向上がありました。
私たちが話す50音の言葉、「あ」とか「い」とかは、それぞれ波形として表示出来ます。コンピュータの音声認識では、人間が話した音を波形に変換して、辞書に登録している波形(音響モデルと言います)のどれと一致しているかを探しています。

この人間が話した波形が、辞書に入っている波形のどれと一致しているか探す処理でCNNを使ったところ、非常に精度が上がりました。波形を画像と見立てて画像分類したのですね。結果的に、音声認識も急激に進歩し、数年後には人間と同等レベルで言葉を認識出来る見込みです。

口である会話能力はどうでしょうか。word2vecという、テキスト処理を行うニューラルネットワークがあります。このニューラルネットワークは、単語や言葉を数値に変換してくれます。

言葉を数値に変換することで何が良いかと言うと、ある文書と別の文書が似ているかどうかコンピュータが計算出来るのです。似ている文書が計算できるという事は、想定問答集(質問文と回答文のリスト)などがあれば、コンピュータが人間と会話させることが出来ます。

AIが人間と会話できそうだということで、接客業務を自動化しようという流れになり、ネット接客するチャットボットや、コールセンターの自動化など、企業の導入が現在かなり進んできています。しかし、精度にはまだ課題があり、すぐに人間の会話能力を超えるとことはなさそうです。

技術的には課題はあるものの、ディープラーニングを軸にしたAIは、人間の目、耳、口の機能をコンピュータ上で実現出来てきました。

人工知能と人間の学習は同じ、スピードが違うだけ

前述の通りディープラーニングは、出力結果が教師データに近づけるように、いろいろ試行錯誤をしています。何もないところから考えているわけではありません。教師がいないと学習できないのです。

学習に教師や回答が必要なことは、人間と同じではないでしょうか。人間が勉強する場合も、まず教科書があって、その教科書の問題を解いて、回答を見て、間違っていたら理解したことを修正しています。ディープラーニングも同じです。ただコンピュータなので、学習の試行回数を何万何億回も学習できるのです。

人工知能が人間の仕事を奪うという議論はありますが、当然奪われるでしょう。
参考:3銀行大リストラ時代 3.2万人分業務削減へ 

他の動物と比べ、人間の優位性は知能でした。人間は、特に速く走れるでも重いものを持てるわけでもありません。ただ活版印刷の誕生によって過去の知識を本として残し、学校の場で知識を深め、産業を発展させてきたのが人間です。知能は、人間の競争優位そのものです。そしてホワイトカラーの劇的増加を見ればわかる通り、より知能の重要度は高まっています。

しかし、今まさに人間のアイデンティティともいうべき知能が、人工知能に追い抜かれそうになっています。一人前の社員を育てるのに3年かかると言われます。一方、アルファ碁ゼロは、3日で人間をはるかに超えてしまいました。

ちなみにアルファ碁ゼロも、CNNと強化学習を組み合わせた仕組みです。囲碁の盤面データをCNNに入れて、どちらが勝っているか勝率を計算しています。盤面の勝率を正しく計算できれば、候補となる打ち手の中で最も勝率の高い手が常に打てるので、最強になれるわけです。

もちろん、アルファ碁ゼロが人間を超えたからと言って、すべての仕事が人工知能に奪われるという意見は暴論です。囲碁AIは、自分で対戦を繰り返すことでデータを無限に増やせたことです。仕事で自分自身と戦うなどちょっとできないと思います。

ただ言えることは、「過去のデータがたくさんあれば、人工知能は高速学習して人間を超える」ということです。

参考記事:AIエンジニアが教えるゼロから機械学習の勉強法

AI時代に生き残る方法はAI人材になること

では人間が人工知能に仕事を奪われずに生き残るためには、どうすればいいのでしょうか。大きく2つの方向性が考えられます。

一つは、過去のデータがない仕事をすることです。
いわゆる前例のない仕事ですね。代表例が、新規事業開発です。新規事業の仕事は、新しい市場や新しい製品を作ることのため、データがなく人工知能が学習できません。いわゆる0から1を作る仕事です。

またもう一つは、人工知能を作る仕事です。
経済産業省は、ビックデータや人工知能を担う人材が2020年に4.8万人足りなくなると予想しています。世界規模では100万人必要と言われる大学の先生もいます。

人工知能が人間の仕事に置き換わるならば、その人工知能を企画して開発して保守する人材が足りなくなることは明らかです。
特にこれから重要で足りなくなると思われる人材は、人工知能の営業ができる人材と、人工知能開発をマネジメントできる人材です。肌感覚ですが、複雑な人工知能を理解し、顧客業務のどこに適合できるかあたりをつけて、顧客に提案できる人材は現在の日本に300人もいないと思われます。また人工知能開発をリードできる人材は、はぐれメタル級に珍しい人材です。

人工知能の技術を理解している人材は、ここ数年で多少増えた印象ですが、加えて営業スキルやマネジメントもできる人材となると極めて少なく希少性があります。そしてこれからの人工知能市場を牽引する人材は、この2種類の方々です。

もし、人工知能を見て「スゴイ!」と感じ、「これはいったいどうなってるんだ?」という好奇心が生まれ、「この技術を自分で学でみよう」という挑戦心を持たれたならば、ぜひとも取り組んでいくことを強くお勧めします。

実は人工知能やディープラーニングは、思ったより難しくはありません。私自身も独学で人工知能を半年ほど学んだ結果、AIエンジニアになれました。

参考記事:未経験からAIエンジニアになる方法

転職してAI人材のポジションを獲得する方法

AI人材の採用を本格化するのが2018年後半からでしょう。大企業のPoCが一巡して必要なスキルセットを理解し、人材戦略に落とし込めるようになるのがそのあたりだからです。

今のうちに転職エージェントに相談しておけば、良いAI案件に関われる可能性があります


なお、AIの活用案件は、やはりIT業界やウェブ業界に多いため、テクノロジー業界に特化した転職エージェントがおすすめです。

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AIエンジニアへのキャリアをどうしようか悩んでいる方におすすめです。特に20~30代で未経験からAIエンジニアを目指す方には強くおすすめします。

  

おわりに

医者の診断業務はなくなります。ガンの検知精度はすでに人間を超えました。
弁護士の判例調査もなくなります。IBMのROSSがアメリカの弁護士事務所に就職しました。
裁判官の判断もなくなります。過去データから判断することはAIが非常に得意です。
会計士の仕事もなくなります。すでに自動化する案件が水面下で進行中です。
事務の仕事もなくなります。今流行りのRPAと合わせて自動化されます。
融資審査の仕事もなくなります。AIが財務データからリスク評価します。
マーケティングの仕事もなくなります。AIが勝手に見込み顧客にDM送ります。
広告の仕事もなくなります。ネット広告はすでにDSPして自動化されています。

ダーウィンの言葉を引用するまでもなく、変化の時代に生き残るためには、自分自身を変化させることが必要です。ぜひとも人工知能を学び、この時代に生き残っていきましょう。

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