上司から一言「人工知能について何か考えてみてくれないか」

翻訳すると、「外部環境として他社のAIの事例を調べ、内部環境として自社のビジネスプロセスを分析し、AIを導入できそうな領域を特定し、人工知能の開発方法を検討し、導入後にどのくらい収益に貢献するかのストーリーを作ってくれ」 ということです。

数あるムチャ振りの中で、最もムチャ振りな仕事と言えるでしょう。このセリフを言われたら、こう返してください。
「それなら〇〇さんが人工知能に詳しいみたいですよ。」
※〇〇には潰したい人の名前を入れましょう

逃げられなかった人へ
おめでとうございます。あなたは流行の最先端です。一緒にAIバブルに踊りましょう。

参考書籍

ソフトバンク孫正義「必要なのは地図とコンパス」

 人工知能市場は、2020年に23兆円になると予想されています。つまり、宝はたくさん埋まっています。問題はどこにその宝があるかが分からないことです。

ソフトバンクの孫正義さんは、「無人島の宝探しで必要なのは地図とコンパスだ」と言われました。具体的には、世界最大のコンピューターの展示会「コムデックス」を800億円で買収し、コンピューター業界の世界最大の出版社「ジフデービス」に2300億円の資本投入しました。つまり、見本市と情報企業を手に入れることで、全ての情報を俯瞰的に把握し、地図とコンパスとして活用したわけです。

残念ながら普通の会社にはそんなお金がありません。そのため、自分で地図を作る必要があります。 ではどうやって地図を作ればいいのでしょうか。

1日で出来る地図の作り方

1.所属業界の人工知能のニュースをすべてリストアップする。
2.人工知能ニュースを、機能軸と企業規模軸でマッピングする。

これで地図作りという外部環境分析は完成です。しかし問題はここから。その地図を見て、どこを攻めるのが良いか。 空白領域を狙うか、手堅く実績がある領域で狙うか。個人的には手堅くいくことをお勧めします。なぜか。手堅い領域は、解決すべき課題とその解決策が存在しているという証明だからです。(あなたがイーロン・マスクであれば、この限りではありません)

メタップス佐藤「電車に乗るためには切符が必要」

メタップスの佐藤さんは、「ビジネスの世界でアクションを起こすのは、電車に乗る行為とよく似ている。遠くに連れて行ってくれる電車に乗れば、大きく飛躍できる。ただし、そのためには、資金、スキルや経験、人脈などの切符を持っていなければならない」と言われています。

あなたは多分サラリーマンですので、この切符は会社全体で持っているかどうか考えます。会社なのでお金や人脈は多少あるかもしれません。問題はAI領域でのスキルや経験です。おそらくないので、どこからか調達する必要があります。

ITベンダーやコンサルに依頼するのも一つですが、自分で人工知能の作り方を勉強してみるのも一つです。自分の手で切符を用意してみませんか?その切符は、会社だけでなく世の中全般でも使えるフリーパスの切符です。

人工知能はscikit-learnで簡単に作れる

多くのライブラリや分析ツールが無償公開されています。Pythonであればscikit-learnというオープンソースのライブラリが有名です。元々Googleが開発していたものがオープン化されたものです。特徴は3つあります。

scikit-learnの特徴
①無料で使える
②BSDライセンスなので商用利用OK
③アルゴリズムやモデル評価の機能が非常に豊富(その辺の商用サービスとは比較になりません)

Python×scikit-learnでのAI開発は、こちらで詳しく解説しています。一見の価値はあります!
 
なお、AmazonではAmazon Machine Learning、MicrosoftからはAzure Machine Learningがクラウド機械学習サービスとして提供しています。クラウド環境が用意されているため、自分で分析環境を用意しなくても大丈夫です。また操作画面が用意されているので、解説サイトを見ながら人工知能を作ることもできるでしょう。ただし有料です!しかも料金体系が分かりにくいです!

人工知能導入のハードルは、どんどん下がっています。あなたが思ったよりもはるかに簡単に導入できる環境が整っています。

業務での活用事例(アンケートデータのポジネガ分類)

では具体的にどんな人工知能を導入するか。ここでは、pythonとscikit-learnを活用して、感情分析という一つの例をご紹介します。

目的:アンケートの自由欄のコメントを、ポジティブとネガティブに分類したい
データ:アンケートの自由欄に、人工知能についてどう思うかが書いてある。
分析ツール:Python2.7, scikit-learn, numpy

スクリプト全文:
import numpy as np
from sklearn import cross_validation
from sklearn import svm
from sklearn.grid_search import GridSearchCV
from sklearn.feature_extraction.text import CountVectorizer
from sklearn.feature_extraction.text import TfidfTransformer

data = ['I artificial intelligence is love.',
        'For machine learning, I believe that thing to brighten the future.',
        'By learning artificial intelligence.',
        'I think management is better understanding of AI.',
        'The process goes the introduction of AI.',
        'AI is a devil. Thing to destroy the human race.',
        'AI will take away the employment of people significantly.',
        'Human was defeated in AI, human values will drop significantly',
        'Now I want to immediately destroyed. Human values drop.',
        'What if revenue down heh it is because of the AI.'
        ]

data2 = [1,1,1,1,1,0,0,0,0,0]

count = CountVectorizer()
bag = count.fit_transform(data)

print "-----dictionary-----"
print(count.vocabulary_)

print "-----vectr_transform------"
print(bag.toarray())


tfidf = TfidfTransformer(use_idf=True, smooth_idf=True)
np.set_printoptions(precision=2)
data3 = tfidf.fit_transform(count.fit_transform(data)).toarray()

print "-----TF-IDF-------"
print(tfidf.fit_transform(count.fit_transform(data)).toarray())

#モデル作成
estimator = svm.SVC(C=14.0, gamma=0.015, probability=True)
estimator.fit(data3, data2)

print "------交差検定--------"
X_train, X_test, y_train, y_test = cross_validation.train_test_split(data3, data2, test_size=0.2, random_state=0)
print estimator.score(X_test, y_test)

ソースコードの解説:
8行目:dataにアンケート文章を格納。
20行目:data2にアンケートデータがポジティブなら1、ネガティブなら0を記入。ここは人間が作ってます。
25行目:単語辞書を作成。アンケートデータに出てくる単語を、すべて並べたもの。
32行目:tfidfで単語データの重要度を評価(いろんな文書で使われるので重要でないとか)
40行目:SVMで感情分類モデルを作成。 SVMは特徴量が多いモデルで大きな力を発揮。
44行目:交差検定でモデルの精度を評価(今回は100%の精度)


これで他のテキストデータを入力すれば、ポジティブかネガティブかを判断してくれる人工知能が完成しました。data1とdata2を貴社のアンケートデータに置き換えれば、再利用できます。

人工知能って要は"分類する"ということが本質なんです。今までマーケターや経営者がやっていたような判断業務を自動化することが、AI導入の第一歩です。しかもデータが貯まることで精度はだんだんと上がります。業務が効率化されることは言うまでもありません。


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