チャレンジすると失敗する。チャレンジしなければ失敗しない。
人間は失敗から学ぶ。
よって、人間の成長を最大化するためには、チャレンジ数を最大化することだ。

新規事業とはチャレンジの代名詞であり、成功確率は高くない。成功率を高めるためには、何度も経験するしかない。蓄積スキルは、経験数とコミットメントの掛け算だ。

一方、推進を担う事業開発部門はわりと花形な部署でもあるため、失敗すると、出世コースから外れたり、次の新規事業を任せてもらえなくなる。チャレンジ数を最大化したくとも、何度もチャレンジさせて貰えないのだ。

ここでは僕が実際に行った、新規事業失敗の社内的ダメージを最小化する方法を紹介したい。おそらく新規事業以外の失敗でも応用できるはずだ。


スタート編

1. 大本営の方針に逆らわない

会社の経営方針に沿った新規事業を行う。取り組もうとしている新規事業が、会社の経営戦略の施策の位置づけに見えるようにする。実際にそうなのだ。事業が失敗しても会社のためにやったのだからしょうがないねとなる。

2. 失っても大丈夫な軍隊で戦う

企業には使っても大丈夫なお金がある。販売管理費や研究開発費など回収責任がない費用だ。逆に投資回収計画後の失敗は、財務的に損失処理をしなければならないので、ダメージが大きい。報告の際に、まず調査からやるという立て付けにして、販売管理費を狙っていきたい。

3.友軍と艦隊を編成する

類似の新事業に取り組んでいる部署があれば、そこと連携し、成果を融通しておくようにする。もし片方が失敗しても、もう片方に統合という形で生き残れる可能性がある。

実行編

4.上官に定期報告する

定期的に上司に報告する。これをやっておくと、失敗しても上司が一部責任を負ってくれる。上官ほどありがたい存在はない。彼らは責任を取るために存在するのだ。しかしあまり近くに置くと、口出しが増えるので特にやばくなったら報告を密にしよう。

5.勝利した戦場に旗を立てておく

中間的な成果物(出来た事や学んだこと)を定期的に情報発信する。特許や論文で残せるとなお良い。この新規事業は、会社のためになっていることを逐次アピールする。これをやっておくと、失敗時に他の部署に引き抜いてもらえる可能性もある。成果物はすべて公開してしまおう。

報告編

6. 攻めるべき市場が存在しなかったことにする

事業運営のまずさではなく、市場参入のタイミングが悪かったせいにする。実際にこのパターンは多い。もしその山に金脈がないのならば、いくら掘っても見つからないのだ。
このまま突き進むと犠牲が増えるだけ。むしろここで撤退することで損失を回避したと思わせよう。

7.敵国の強さのせいにする

曹操率いる魏が全力で攻めてきたら、公孫康が滅びるのは自明の理。つまりGoogleが同じ製品を提供したら敗北は確定事項だ。失敗はあくまで強敵が突然攻めてきたせいにする。Googleはこっそりいろんなサービスを出しているので、何かそれっぽいのが見つかるかもしれない。

8.背水の陣をひく

失敗報告と合わせて次の新規事業を提案する。今回の失敗理由を整理して、課題を克服できるサービスを提案する。今回の失敗が布石になって、次のサービスが成功するストーリーを作る。統計的にも、このパターンが最も成功率が高い。



こんなことくだらないと思うかもしれない。実際くだらない。またこんなことするくらいなら新規事業なんてやりたくないと思われるかもしれない。

しかし結局のところ、新規事業とは「会社の金を自分の起業スキルに転換する行為」なのだ。こんなおいしい話はない。企業の資本が投資に使われていないと言われて久しい。ならば喜んでその金を使ってあげようではないか。誰かはきっと成功する。その人が日本経済を牽引していくのだ。

もし新規事業に取り組んでみたい人がいるならば、こちらの書籍一覧から、自分に合った本を探してほしい。知識は邪魔にならない。先人の失敗経験は、多くの示唆をあなたに与えてくれるはずだ。