先日IT業界の企画担当者が集まり、都内で懇親会がありました。
今回は大手企業の方の比率が高く、いろいろ情報共有(愚痴)を行いました。

その中で特に話題になったことは、
「コンサル会社に払っているお金って、投資対効果に見合ってるの?」
ということです。

経営コンサル会社が発注者の期待値を超えられない理由

経営戦略や販売戦略策定において、経営コンサル会社に頼むと約1000万円ほど費用が必要で、特に特に外資系の戦略コンサルティングファームになると、2000~3000万円の費用が掛かります。しかし、コンサルに頼んで、たくさんの調査や分析をして頂き、最後にプレゼンして貰っても、なぜかその通りに進まないという意見が多く上がりました。なぜその通りに進まないかというと、成果物が期待値を超えておらず、取り組む意欲がなくなったからとのことでした。

なぜ経営コンサル会社は、クライアントの期待値を超えられないのか?
いろいろ聞いた話をまとめると、原因は大きく3つあると思われます。

①専門用語が多く提案内容が分かりにくい

コンサルさんは、なぜか難しい用語を使いたがります。例を挙げると、バリュー、ゼロベース、ストローマンなどです。ストローマンとかもはや一括変換できないですからね。調べても良く分からなかったので、個人的に"仮説"と読みかえて聞いてました。

②発注者が期待値を高く設定しすぎている

これはあるでしょう。なんとなくマッキンゼーとかBCGとかATKとか聞くと、すごい提案をしてくれそうな期待をするのです。これは日系コンサルにも、期待値はやや下がりますが同じことが言えます。やはり経営コンサルという肩書を見ると、ワクワクしてくるものなのです。
(Twitterで怪しい商売をしている人が、よく"経営コンサル"と名乗るのもわかる気がします)

③提案内容が腹に落ちない

これはある意味仕方のない事なのですが、言われたことをやるのってなんとなく腹落ちしないんですよね。提案内容には納得していながらも、心のどこかで「本当にそうかな?」と思っているんです。理由は、自分が手を動かしていないからではないでしょうか。


こう見ると、経営コンサル会社が期待値を超えられないのは、コンサルタントの資質の問題というよりは、コンサルビジネスの欠陥と言えるでしょう。やはり組織の問題解決は、皆が理解できて、関係者が納得できるような方法、つまり組織内の人間が考えることが必要なのではないでしょうか。

「いや、内部で考える人材や時間がないからコンサルに発注しているんだよ」 

と言われるかもしれません。
でも大丈夫です。内部の人が簡単に、市場分析や戦略立案ができる方法があります。

そう、今流行りの人工知能(≒機械学習)です。 

機械学習手法"ニューラルネットワーク"を使って販売戦略を立案する

販売戦略を立てるうえでのステップは、大きく3つ※1あります。

①自社分析
②市場分析
③販売戦略

この3つを見ると、①自社分析は、外部より社内の人の方が十分知ってるわけです。そのため大事なことは、②市場分析です。顧客を調べ、分析し、より理解を深めることを、コンサル会社に期待しているわけです。その市場分析と自社分析から③販売戦略が導き出されます。

この市場分析と販売戦略ですが、実は機械学習ですぐにできます。
こちらも3ステップで解説します。


1.データを用意する

例えば、健康食品会社が、以下のような顧客データを持っていたとします。データは、年齢や性別の顧客属性データと、りんご錠剤などの過去の商品の購入履歴です。ここでは、新製品トマト錠剤の売上が上がらないので、新しい販売戦略を立案するというケースを想定します。

結局のところ、経営者やマーケティング担当者が知りたいことは、新商品"トマト錠剤"を、誰に売ればいいのかを知りたいわけです。
データの右列にある、"?"の部分がありますが、まだ顧客が買っていないことを示しています。つまり、この"?"の部分を予測し、買ってくれそうな顧客を知りたいわけです。
スライド1
※上記のデータはこちらのサイトで作った疑似データを元に一部追記修正。

2.データの前処理をする

このデータを機械学習ツールでかけるために、データの前処理を行います。
今回は、文字のデータを0,1に変更しました。また、名前など予測に関係ないデータを削除しました。
weka予測2


3.データから予測する

上記のデータを、機械学習ツールwekaを使い、ニューラルネットワークで予測します。結果、以下のような予測が導き出されました。
weka予測3

少し見にくいかもしれません。簡単に言うと、3列目の数値が高い顧客ほど、購入の期待値が高いです。今回は赤枠の顧客が、買ってくれそうな(期待度の高い)顧客になります。


まとめ「フリーソフトで始める機械学習入門をおすすめします」

今回のような分析結果を、経営コンサルタントが予測する場合、多大な工数がかかります。

具体的には、マーケ担当者ヒアリング、顧客グループインタビュー、調査結果の分析、マーケティング戦略の立案(市場分割とポジショニング設定)など、多くの稼働がかかります。当然ながらお金もかかるわけです。期間は1-2ヶ月、費用1500万円といったところでしょうか。

一方、機械学習(≒人工知能)を活用すれば、データの準備、前処理、結果分析だけでよいので、早ければ半日で終わります。しかも、一度データ分析を行えば、次やるときにデータの前処理が終わっているので、1時間くらいで新しい予測が出来ます。また、販売戦略以外にも多くの利用法が可能です。つまり、アウトプットの定着率と再利用が極めて高いです。


ここまで読まれた方の中は、
「いや、そもそも機械学習とか知らないし、難しそうだからやりたくない」

と言われる方も多いと思います。しかし、大丈夫です。
「フリーソフトで始める機械学習入門」という本を読めば、無料で出来るようになります。

マーケティング担当者のような、データ分析になれている方であれば、初心者の方でも十分に理解できる内容です。


なお、この本で紹介されている、wekaという機械学習ツールは無料ですので、コストは本代と読む時間だけです。私はこのツールが無料というのにとても驚きました。他の大手IT企業が提供する機械学習ツールのほとんどが有料にも関わらずです。

wekaは、ニュージーランドのワイカト大学で、研究開発のツールとして開発されたようです。そのため、あまり商用という意識が無かったのかもしれません。
なお、wekaはPCのローカル上で動くので、クラウドに大事なデータを上げる必要もありません。また、Javaで書かれているため、WindowsでもLinuxでも動きます。

「分析業務が多いけどプログラミングはやりたくない」という、マーケティング担当の方や企画担当の方にはおすすめます。


(補足)
今回コンサル会社を煽ってますが、あくまで経営コンサルビジネスに対するアンチテーゼであり、コンサル社員の方をディスってるわけではありません。ただ、経営コンサルが人工知能に置き換わる流れは、もはや不可逆的な流れであり、その方がそれこそROIが高まるという判断からこういった記事を書かせていただきました。

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※1 競合分析や環境分析もいるだろと言われる方もいると思いますが、今回は話を簡略化するため割愛しました。