世界初の人工知能弁護士「Ross」が、アメリカの大手弁護士事務所Baker & Hostetlerに就職し1カ月が経ちました。

Rossさんの主な業務は、弁護士からの法律質問に対し、法律面の回答を行うというものです。法律事務所は、年間96億ドルを調査業務に費やしています。Rossさんの仕組みとしては、IBMワトソンに破産関連の質疑応答と判例を学習させることで、自然言語での検索を実現しています。銀行のコールセンターの質疑応答支援とまったく同じ技術ですね。

人工知能をフル活用する弁護士と活用しない弁護士では、価格とスピード面で大きな差が出てくるでしょう。結果、「AI補助付き弁護士」が、多くの報酬を得て、AIスキルの乏しい弁護士から職を奪うようなことが起こると想定されます。

先週の記事はこちら 

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1.今週の人工知能ニュース

世界初、人工知能弁護士「Ross」が就職!?

http://www.gizmodo.jp/2016/05/ross_ai_lawyer.html
世界初の人工知能弁護士「Ross」が就職。開発元のROSS Intelligenceがアメリカの大手弁護士事務所であるBaker & Hostetlerと契約したと発表。

ソフトバンク、株主総会終了 孫社長「やり残したことがある」 

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL22HI7_S6A620C1000000/
「孫正義社長は人工知能などの新事業への展開に意欲を示した。」とのこと。人口知能の加速度的な変化を前に、孫社長がワクワクして新しい事業やりたくなったのでしょう。孫社長の社長継続は、シンギュラリティが10年以内に起こることがほぼ確実になったからと言えます。
 

人工知能・機械学習・IoTがいかにソフトウェア開発のカギとなってくるのかが分かるグラフが公開中

http://gigazine.net/news/20160622-internet-of-things-robotics/
「ビッグデータ解析を目的とするアプリの開発者にとって最大のターゲットはIoT分野。また、データマイニングアプリを開発する開発者にとって最も重要な産業はロボット工学」、とのこと。


インプットとアウトプットさえ与えれば、中のロジックを自動的に構築してくれるAI。プログラマの仕事も、10年以内にほぼなくなるでしょう。Web分野ではGoogle卒業のエンジニアが、ホームページ開発を自動化するサービスを開発中です。業務システムも、設計書からプログラムを自動化する技術も実用段階に来ました。プログラム技術の価値は暴落するのでしょうか。

2.今週の人工知能銘柄

今週は、ソフトバンクの主力子会社をご紹介します。

ソフトバンク・テクノロジー株式会社(4726)

売上高 45,163百万円 営業利益 2,308百万円
時価総額 約205億円
PER12倍 PBR 1.7倍
平均年齢35.8歳 平均年収6,320千円
企業情報:EC業者向け運用代行からクラウド、セキュリティ、デジタルマーケティングへ軸足シフト中。 
 
得意のEC保守業務から、データアナリティクス分野に注力し、昨年度110%の成長をしています。データ解析支援、ウェブコンテンツ管理・データ解析基盤の構築案件が順調に推移。今後は、データサイエンティストの億世と、データ活用プラットフォーム構築に舵を切るとのこと。

この会社の強みは、クラウド事業のノウハウが蓄積していることです。データセンタ上にクラウドサービスを運営するためには、データ基盤、セキュリティ対策(金融ならFISC対応など)、運用・管理、データ解析など多岐にわたる技術スキルが必要です。このクラウドサービスをワンストップで提供できることが強みです。

IoTビジネスも今後開発するとのことなので、クラウド事業で蓄積した技術が多いに生きる事でしょう。ポイントは、非構造データの分析技術とセンサー数をどこまで増やせるかにかかっています。


◆転職先の視点
年収はやや良い程度。平均年齢が高めなので、安定して勤められる会社。今後データサイエンティストを目指す人には、今後育成強化していくのでお勧めできます。なおPERが低く、投資先としても魅力的ですね。成長領域で十分勝ち抜く力がある会社なのですが、親会社の陰に隠れ、見落とされているのかもしれません。

転職先おすすめ度:★★★★☆

3.人工知能時代に残る仕事は技能職と企画職と目標設定する経営者

人間の機能は、大きく五感、脳、手足の三つに分かれます。五感はセンサー、脳はAI、手足ではロボットが代替を始めています。

ロボットが手足を代替することで、仕事が奪われることもあると思いますが、ブルーカラーの業務は、産業革命で既に多くが淘汰されており、数としては多くないでしょう。

次はホワイトカラーが淘汰される番です。 AIによる脳の代替はホワイトカラーの存在意義をなくします。特に危険な業界は、Web業界です。なぜならデータがたくさんあるからです。データがある分野で人間がAIに勝つことは不可能です。
また、AI関連の仕事はデータを扱います。そのため、人工知能に近い仕事は、人工知能に置き換えられやすいという皮肉な側面があります。
 
また、現在データがない業界も落ち着いていられません。IoTによってこれまで取れなかった新しいデータが取られることで、徐々にAIが浸透していきます。BtoBを狙う会社にとってはむしろ主戦場と言えます。
なお、金融分野などデータを扱っている企業の仕事は、ほぼ全てAIに置き換え可能です。10年後には行員が一人もいなくなっているかもしれません。



それでも人間が生き残る道はあります。大きく3つの方向性があります。

①技能職は生き残る
自動車修理、心地よい接客、クリエイター、研磨などモノづくりの仕事。
理由:データの取得が非常に難しいから。

②法則が変化する領域の仕事は生き残る
経営者や企画職など、市場や社会変化を検知し、新しい仕組や事業を考えるする仕事。
理由:法則が変化する場合、いくらAIにデータを学習させても、最適なモデルを作れないから。 

③目的を設定する仕事は生き残る
経営者や企画職など、目的を設定し、考える枠組みや仕組みを設する仕事。
理由:AIは目的や枠組みを設定できないから。 


上記の3つを営業職で当てはめて考えてみると、顧客への最適な提案商品や時期を考えたり、最適な顧客リストなどマーケティング関連の業務は全てAIで自動化されますが、対面で顧客の話をしっかり聞くことや、営業目標を立てる仕事は残るでしょう。

結論的に言うと、AIを使いこなせる人材が生き残り、AIを使いこなせない人材は淘汰される未来がやってきます。AIリテラシーが、その人の生存能力に直結する時代です。


※当記事は特定の銘柄の購入を誘導するものではありません。投資は自己責任で行ってください。また、内容は信頼性を保証するものではありません。
※時価総額、PER、PBRは、掲載日前後の株価をもとに掲載しております。