人工知能市場は、もはやバブルの様相を呈してきました。多くの人工知能銘柄が、PER100倍を超え、人工知能と無関係な企業でも、人工知能の導入検討を進めてきている状況です。

話題が沸騰している2017年、人工知能が社会そのものを革命するといった雰囲気です。主役Google、脚本米国、演出東大といったところでしょうか。

かつてアイスランドが、国を挙げて遺伝子解析研究を進めました。DNAを解析することで、パーキンソン病やアルツハイマー病など、遺伝関連の病気を治すことが出来ると考えたのです。当時も医療技術の革命が起こるというような雰囲気でしたが、結局目覚ましい成果は得られず、リーマンショックと合わせて、アイスランドは破綻してしまいました。

一方人工知能の技術進化は予想以上に進み、ディープラーニングは人間の目の能力を超えました。また、ワトソンが年1兆円売り上げるなど、企業の投資意欲も非常に高く、バブルに実体も追いついてきた印象です。いずれにせよ、莫大なお金が動いていることは間違いありません。

先週の記事はこちら 

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1.今週の人工知能ニュース

マイクロソフトの相次ぐ買収劇、狙いはAIアシスタントの強化か

https://roboteer-tokyo.com/archives/4665
マイクロソフトがチャットアプリ・ワンド(Wand)を開発したワンドラボ(Wand Labs)を買収したことが、6月16日に発表された。これは人工知能技術(AI)をベースにした、パーソナルアシスタントサービスを開発するための一手だと分析されている。

NTTドコモ、吉澤和弘氏が新社長に就任 - 目指すは「脱・通信会社」?
http://news.mynavi.jp/articles/2016/06/17/docomo/

「サービスの創造・進化」では人工知能(AI)を利用し、生活に溶け込むパーソナルエージェントといった技術を使って、一人一人のユーザーや家族にとっての、楽しさや便利・安心を確保すること。。
 

Googleの会話型AI「Google Assistant」がスゴすぎる、人間の執事のように状況を把握してユーザーを手助け

http://appllio.com/20160519-8214-google-assistant
この会話型AIの凄まじさは、人間と会話するように自然言語で理解して必要な情報・行動を提示してくれるだけでなく、ユーザーの置かれたコンテキスト(状況、文脈)を把握し、しかもシームレスにデバイスを超えて適切に動作するという点です。
たとえば、ユーザーが「映画を観たい」とGoogle Assistantに尋ねれば、会話するような流れで必要な情報の入手や次になすべき行動を手助けしてくれます。


マイクロソフト、NTTドコモ、Google、そしてAppleのsiriなど、大手IT企業が目指す姿はどこも同じですね。自分の代わりに考えてくれるパーソナルAIを誰が作るのか楽しみです。

2.今週の人工知能銘柄

今週は、ネット広告業界の最大手企業をご紹介します。

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(4281)

売上高 144,980百万円 営業利益 5,062百万円
時価総額 約485億円
PER23倍 PBR 2.9倍
平均年齢31.8歳 平均年収6,020千円
企業情報 インターネット広告の媒体代理店首位。博報堂DY子会社。アイレップと16年10月に経営統合
 
インターネット広告の最大手企業です。「ネット界の電通」というと分かりやすいでしょうか。ここ数年間、右肩上がりで売上と利益を伸ばしてきました。しかし、株価はずっと低迷したまま。個人投資家からは、仕手株として有名な銘柄でもありました。動き出したのは昨年11月。あれよあれよという間に、半年間で株価は2倍以上になりました。ホルダーも喜ばれていることと思います。

事業領域であるインターネット広告の市場規模は1兆1,594億円で、毎年10%成長しています。また、ユナイデッドなど優良子会社を多数保有しており、その子会社だけで時価総額480億円の大半を説明できます。半年前までは、ユナイデッドの株価は、DACより高い親子逆転状況でした。(当時ユナイデッドの時価総額は500億円ありました)

DACの特徴は、ネット広告分野での幅広い事業領域です。広告主側のDSPと媒体社側のSSPの両方を管理しており、アドテク、RTB、分析サービスなど技術も含めめ、ネット広告すべての領域をカバーしています。

同業に近年上場した企業にフリークアウトがあり、DSPを手掛けております。PERで比較すると、フリークアウトのPER165倍ですが、一方のDACはPER23倍。フリークアウトの経営陣は大変優秀であることは認めますが、なぜこれほどのPER差があるのかはいまだに疑問です。


◆転職先の視点
業界内では非常に存在感があり、力のある企業です。簡単に言うと名刺の力が絶大です。給与面や職場環境もも悪くなく、企業規模も大きいです。一方、成長市場の主役でもあるため、成長と安定度の総合値で見ると大変魅力的な職場です。株主視点でも労働者視点でも、優良企業と言えるでしょう。

転職先おすすめ度:★★★★★

3.AI系ベンチャー企業転職はハイリスクハイリターン

転職とは、個人でいえば重要な経営判断の一つといえます。企業経営とは、人・モノ・金・情報といった経営資源を最適に配分することですが、個人でもこれは同じです。

人は、自分自身の時間。勤務先企業のこと。
モノは、自分が保有する事業。ブログや個人ECサイトなど。
金は、貯金や株式。
情報は、スキルや知識。

大企業勤務の人は、人の資源を安定した銘柄に投資しています。そのため、貯金は株式や外国債など、リスクマネーに投資することで、ポートフォリオが最適になります。

一方ベンチャー企業勤務の人は、人の資源を高リスク銘柄に投資しています。そのため、貯金は国債や円など安定した金融商品を保有する方がバランスが良いかもしれません。または、個人で副業を始め、モノ資源を構築することで、安定化を狙うのもありでしょう。

経営資源が少ないと将来困ってしまいます。例えば、派遣社員で、個人事業を持たず、貯金もなく、スキルもない。こういった場合、まずは派遣社員から正社員を狙うべきです。派遣社員という立場は、高リスク低リターンであるため、投資先として魅力がありません。正社員になった後は、金資源と情報資源を蓄積していきます。ここでそれなりに蓄積されてけば、金資源を株式などに転用してリスクをとったり、副業を始めてモノ資源を蓄積したり、ベンチャー企業に参画して、攻めの経営をしていくなどの方向性があります。

「正社員になれなくて困っているんだ!」という声が聞こえてきそうですが大丈夫です。
こちらの記事で、転職市場で自分を高く売る方法をまとめましたのでご参考ください。


では現在正社員の優秀な方が、例えばAI系ベンチャー企業に転職をすることは、ポートフォリオとして考えた時に正しい判断なのでしょうか。

ディープラーニングを活用しているようなAIベンチャー会社は、当たれば非常に高収益です。最近上場したPKSHATechnologyでは、億万長者がたくさん生まれた事でしょう。手持ち現金やスキルがあるなら挑戦することもありでしょう。リスクを取らなければチャンスはつかめないですから。

ただディープラーニング系のアルゴリズムは、GoogleやAmazonとの大競争にさらされています。数年間自社で研究してきたディープラーニングのアルゴリズムが、次の日にGoogleがそれ以上のアルゴリズムを無償提供するみたいなことは十分ありえます。こういったGoogleリスクをビジネス面でヘッジできるような人材も、市場では求められているようです。

AIベンチャーに転職することはリスクは高いです。しかしチャンスも大きいです。
あなたはあなた自身をハイリスクハイリターンに投資してみるか、もう一度考えて欲しいです。

4.AI企業に転職するための3ステップ

AI企業に転職するステップをまとめてみました。

STEP1 AI業界を調査する

まずは業界を知りましょう。EY研究所の資料を見て業界別の市場規模を把握します。あなたが所属する業界の市場規模が大きければチャンスです。これまで蓄積した業務知識がそのまま活かせるからです。
またAIと言っても広いので、どんな職種があるかも合わせて確認してみましょう。

職種の選び方:AI人材になるにはスキルよりまず職種を選択しよう

STEP2 AIを勉強する

AI企業に転職するなら、ぜひともAI技術を学びたいところです。転職できる可能性も上がります。必要な知識と勉強方法は、以下の記事で解説しています。

AIの勉強方法:AIエンジニアが教えるゼロから機械学習の勉強法

STEP3 転職エージェントを選ぶ

「転職ではあなたに合った企業を探しましょう」と言ってもネットだけでは限界があることも正直なところです。一番良いのは、人工知能業界に強い転職エージョントに登録して、どんな企業が合っているか相談してみることです。また内定可能性も高まります。

転職サイト選び:【人工知能業界】AIエンジニアが選ぶおすすめ転職サイト・転職エージェント

いきなり転職エージェントに登録することに抵抗感を持つ人もいるかもしれません。私は現在転職の意思はないのですが、定期的に連絡を取っている転職エージェントがいます。

定期的に会って情報交換しているのですが、転職というより仕事の相談みたいな形で話を聞いてもらっています。雇用情勢に詳しいエージェントがいると、どういった仕事が売れるか分かるので、今の仕事に活きている実感があります。
たださすがに申し訳ないので少し高めの紅茶など贈ったりしましたが、おそらくエージェントの方は転職意思が固まった際に、真っ先に連絡してくれば良いと考えてくれていると思います。


またぜひ面談で、ご自身の市場価値を聞いてみてください。私がAIエンジニアを目指した理由が、キャリアコンサルタントから「もしAI系エンジニアならばベンチャーのCTOで移れる可能性もあるよ」と言われたことが大きいです。当時は企画職だったのですが、AIエンジニアの市場価値の高さを改めて認識し、そこからAIエンジニアの勉強を開始しました。


特に大企業で人工知能の取り組みが加速しており、今なら内定可能性が高まっています。まずは転職サイトにまず登録をして、エージェントと話しをながら時間をかけて企業選定してみてください。


※2017年11/13追記しました
※当記事は特定の銘柄の購入を誘導するものではありません。投資は自己責任で行ってください。また、内容は信頼性を保証するものではありません。
※時価総額、PER、PBRは、掲載日前後の株価をもとに掲載しております。