Googleは、莫大な資金を人工知能研究に投資。Facebookの顔認識AIは、人間を上回る判別結果を出した。
現在の人工知能ビジネスは、ディープラーニングというアルゴリズムの実用化に向けた競争と言えます。この次は、データを確保できるかの競争に代わるでしょう。なぜならAIを活用する上で、最も大事なことはデータだからです。データの価値がお金の価値を上回る時代がすぐそこに来ています。そして最後に、企業の業務活用やビジネスモデルの競争に推移すると予測されます。
このAI時代を生き残るため、今のうちに必要なスキルの蓄積や、新しい事業を仕込んでおきたいものです。そのためには、どうすればいいのか。
一つの道筋として、現在日本の人工知能ビジネスで、リーダーシップを発揮している人材から学ぶことが一番近道ではないかと。そして彼らの多くは、AIに関する書籍を上梓しているため、ランキング形式で書籍をご紹介します。
※最新の週刊AI市場はこちら
システム開発の生産性に対して並々ならぬ思いを持っており、やねうらおさんの記事に長文のコメントを寄せています。
ヤフーのCSOの方。ハーバード・ビジネス・レビューで人工知能が特集された際に、論文を寄稿されています。タイトルは、「人工知能はビジネスをどう変えるか」。この論文を読むことで、今の人工知能が出来る事と出来ない事の境界線が分かります。また、これまでの経営資源である「人・モノ・金・情報」から、「人・データ・キカイ」に移り変わるという事が理由付きで分かります。
なお、安宅さんが経済産業省に提示された「これから求められる人材について」の資料も必見です。人工知能時代に必要なスキルが何かが分かります。
我々がここから学ぶべきことは、AIに対して世の中の期待が高まっている分、提供側はその期待値をコントロールしなければいけないという事。
具体的には、「うちの営業日報をディープラーニングに食わせれば、新しい販売戦略が分かるんだろ」 と顧客から言われたときに、今の技術レベルを丁寧に説明して、落としどころを探ることがイシューです。
元ライブドア証券の取締役副社長で、現在は経営共創基盤(IGPI)のパートナーの方。
人工知能に関して全く知らない人に向けた本です。対談形式で分かりやすいため、高校生でも読めます。塩野さんの突っ込んだ質問と、松尾さんの知識量を楽しむ本です。
「いったい人工知能は我々をどこに連れていくのか?」
なんていう経営者の悩みが今から聞こえてきそうです。
余談ですが、塩野さんのキャリア相談は大変面白いので、キャリアに悩む方は必見です。
メタップス社の社長さんです。この方が持つ知恵の20%でもあれば、投資で食っていけるでしょう。本書では、「人工知能が発達した未来はどうなるのか」という問いに対し、未来予測の思考法を含めて、将来像を示してくれています。必見です。
ビジネス視点で見ると、個人情報がいかに価値を持つかが良く分かります。パーソナル情報を握れば、最適レコメンドの名のもとに、その人間をコントロールできるのですから。
現在の人工知能ビジネスは、ディープラーニングというアルゴリズムの実用化に向けた競争と言えます。この次は、データを確保できるかの競争に代わるでしょう。なぜならAIを活用する上で、最も大事なことはデータだからです。データの価値がお金の価値を上回る時代がすぐそこに来ています。そして最後に、企業の業務活用やビジネスモデルの競争に推移すると予測されます。
このAI時代を生き残るため、今のうちに必要なスキルの蓄積や、新しい事業を仕込んでおきたいものです。そのためには、どうすればいいのか。
一つの道筋として、現在日本の人工知能ビジネスで、リーダーシップを発揮している人材から学ぶことが一番近道ではないかと。そして彼らの多くは、AIに関する書籍を上梓しているため、ランキング形式で書籍をご紹介します。
※最新の週刊AI市場はこちら
5位 PFI 西川徹
東大発ベンチャーPFI(PFN)の社長です。昨年トヨタ、NTT、ファナックなど最大手企業と研究開発領域で提携したことで、一気に注目を浴びました。PFIの競争優位は、東大卒エンジニアの開発生産性と情報検索アルゴリズムの研究開発力です。受託開発には手を出していません。システム開発の生産性に対して並々ならぬ思いを持っており、やねうらおさんの記事に長文のコメントを寄せています。
一旦製品が多く利用されるようになると、我々はその製品を通じて、我々が開発したコードや研究開発した技術をいち早く多くの顧客に届けられるようになります。我々は、研究開発を継続的に行い、その技術を広めていきたいというビジョンがあり、そのビジョンを達成するためにはパッケージソフトウェアの提供が適切であると判断しました。優れたミドルウェアを提供することにより、システム開発の生産性は大きく向上すると考えています。
http://d.hatena.ne.jp/yaneurao/201009274位 ヤフー 安宅和人 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2015年11月号
ヤフーのCSOの方。ハーバード・ビジネス・レビューで人工知能が特集された際に、論文を寄稿されています。タイトルは、「人工知能はビジネスをどう変えるか」。この論文を読むことで、今の人工知能が出来る事と出来ない事の境界線が分かります。また、これまでの経営資源である「人・モノ・金・情報」から、「人・データ・キカイ」に移り変わるという事が理由付きで分かります。
なお、安宅さんが経済産業省に提示された「これから求められる人材について」の資料も必見です。人工知能時代に必要なスキルが何かが分かります。
3位 東京大学 松尾豊 人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの
過去の2度のブームでは、人工知能研究者は、人工知能の可能性を喧伝した。いや、喧伝する意図はなかったのかもしれないが、世の中がそれを煽り、そのブームに研究者たちも乗った。多くの企業が人工知能研究に殺到し、多額の国家予算が投下された。
パターンはいつも同じだ。「人工知能はもうすぐできる」、その言葉にみんな踊った。しかし、思ったほど技術は進展しなかった。思い描いていた未来は実現しなかった。人工知能はあちこちで壁にぶち当たり、行き詰まり、停滞した。そうこうするうち、人は去り、予算も削られ、「人工知能なんてできないじゃないか」と世間はそっぽを向いてしまう。期待が大きかった分だけ失望も大きかった。
松尾先生が、このAIブームを手ぐすね引いて待っていたことが想像できます。そして、今のAIブームは過去に起きたこととまったく同じパターンだということです。パターンはいつも同じだ。「人工知能はもうすぐできる」、その言葉にみんな踊った。しかし、思ったほど技術は進展しなかった。思い描いていた未来は実現しなかった。人工知能はあちこちで壁にぶち当たり、行き詰まり、停滞した。そうこうするうち、人は去り、予算も削られ、「人工知能なんてできないじゃないか」と世間はそっぽを向いてしまう。期待が大きかった分だけ失望も大きかった。
我々がここから学ぶべきことは、AIに対して世の中の期待が高まっている分、提供側はその期待値をコントロールしなければいけないという事。
具体的には、「うちの営業日報をディープラーニングに食わせれば、新しい販売戦略が分かるんだろ」 と顧客から言われたときに、今の技術レベルを丁寧に説明して、落としどころを探ることがイシューです。
機械学習とは、人工知能のプログラム自身が学習する仕組みである。そもそも学習とは何か。どうなれば学習したと言えるのか。学習の根幹をなすのは「分ける」と言う処理である。ある事象について判断する。それが何かを認識する。うまく「分ける」ことができれば、物事を理解することができるし、判断して行動することができる。「分ける」作業は、すなわちイエスかノーで答える問題である。
機械学習(人工知能)を一言でいうと、「分ける方法をコンピュータが自動的に学習すること」と言えるようです。そして機械学習は、教師ありデータを用意することで、いくらでも新しい仕事をさせることが出来るとのこと。つまり、人工知能にどんな仕事をさせるかを考えることが、人工知能ビジネスのテーマです。(中略)
機械学習は、コンピューターが大量のデータを処理しながらこの「分け方」を自動的に取得する。いったん「分け方」を習得すれば、それを使ってデータを「分ける」ことができる。一旦猫を見分ける方法を身に付ければ、次からは猫の画像見た瞬間、これは猫だと瞬時に見分けられること言うことだ。(中略)
機械学習では、どんなデータを用意するか、どのように正しい出力(正解データ)を用意するか、この2つの組み合わせによって、いくらでも新しい仕事をさせることができる。2位 経営共創基盤 塩野誠 東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」
元ライブドア証券の取締役副社長で、現在は経営共創基盤(IGPI)のパートナーの方。
人工知能に関して全く知らない人に向けた本です。対談形式で分かりやすいため、高校生でも読めます。塩野さんの突っ込んだ質問と、松尾さんの知識量を楽しむ本です。
02.人工知能の怖さは予測精度にある
MATSUO:精度を高めるため、いろいろな出来事、物事の因果関係を、ひたすら客観的に把握していく箱。なぜその予測がでてくるのか人間にはわからないが、とにかく精度は抜群に高いという存在ですね。
SHIONO:人間にはどうしてそれを思いついたのか理解できなくとも、精度は異常に高いという人工知能ですか。それは人間の理解を超えるという、別の本質的な怖さがありますよね。機械のCEOが経営判断をして素晴らしい経営をしているけど、意思決定のプロセスは人間には理解できないような。
MATSUO:ええ。人工知能が持つ「怖さ」という視点では、現実的にはそちらのほうが先に起こりそうな気がします。逆に、映画でよく描かれるような人間を支配するロボットとかは、作ることが非常に難しいので、誰も作らないと思います。
MATSUO:精度を高めるため、いろいろな出来事、物事の因果関係を、ひたすら客観的に把握していく箱。なぜその予測がでてくるのか人間にはわからないが、とにかく精度は抜群に高いという存在ですね。
SHIONO:人間にはどうしてそれを思いついたのか理解できなくとも、精度は異常に高いという人工知能ですか。それは人間の理解を超えるという、別の本質的な怖さがありますよね。機械のCEOが経営判断をして素晴らしい経営をしているけど、意思決定のプロセスは人間には理解できないような。
MATSUO:ええ。人工知能が持つ「怖さ」という視点では、現実的にはそちらのほうが先に起こりそうな気がします。逆に、映画でよく描かれるような人間を支配するロボットとかは、作ることが非常に難しいので、誰も作らないと思います。
数日前に日立製作所が、「経営判断が出来るAIの基礎研究に成功した」と発表しました。経営判断の予測精度が人間を超えた時に、年収3000万円の経営者の価値は0円です。そしてその予測精度を算出したロジックは、人間には理解できません。決定木すら理解できない経営者が、ディープラーニングが発見したパターンを理解できるわけがありません。
「いったい人工知能は我々をどこに連れていくのか?」
なんていう経営者の悩みが今から聞こえてきそうです。
なお、塩野さんがパートナーを務める経営共創基盤では、IGPIビジネスアナリティクス&インテリジェンスという、AI活用コンサルティングに関する子会社を設立しました。人工知能について夢を膨らませている大企業向けに、これから荒稼ぎしていくと思われます。
余談ですが、塩野さんのキャリア相談は大変面白いので、キャリアに悩む方は必見です。
1位 メタップス 佐藤航陽 未来に先回りする思考法
メタップス社の社長さんです。この方が持つ知恵の20%でもあれば、投資で食っていけるでしょう。本書では、「人工知能が発達した未来はどうなるのか」という問いに対し、未来予測の思考法を含めて、将来像を示してくれています。必見です。
ネットの集合地のおかげで劇的に賢くなった消費者は、これからの時代、本当に価値のある商品やサービスにしか対価を払いません。価値主義においては、提供する価値と経済的成功は密接に結びつきます。
インターネットのおかげで、消費者は賢くなり、本当に必要なものにしかお金を使わなくなるとのこと。また、あらゆるサービスは、価格競争により、無料に近づくとのことです。
どんな情報が自分にとって大事であり、何をすべきなのか、という優先順位までは既存の検索エンジンは教えてくれません。今後は他人の知性の活用から一歩進んで、人間が検索する前に最適な答えを与えてくれる、能動的な知性が誕生するでしょう。人工知能の発達です。
人工知能は、人間に最適な答えを自律的に与えてくれる存在に。そして、人工知能の最終系は、自分の代わりに考えてくれる自分の分身とのこと。人間は、考えることや意思決定することがなくなってしまうのでしょうか。(中略)
人間の機能を拡張するテクノロジーが最終的に行き着く先は、「どこにても自律的に考えて行動する自分の分身」です。今のPCやスマホは、こちらから指示を与えればそれに応じてくれますが、自ら進んで所有者の要望叶えてはくれません。しかしさらに技術が進歩すれば、自分のことを誰よりも知り、自分の代わりに考えてくれ、自分の要望を叶えてくれるような分身はいつか実現します。データを持ち、そこからあらゆるパターンを見つけすることができる企業は、データをコントロールし、ひいては人間そのものをコントロールする力を持つようになるでしょう。
常に一番良い判断を教えてくれる人工知能は、結果的に人間をコントロールする存在に。そしてこの人工知能は、企業が持っています。つまり、企業がAIを通して、我々人間をコントロールすることが数年後の未来のようです。ビジネス視点で見ると、個人情報がいかに価値を持つかが良く分かります。パーソナル情報を握れば、最適レコメンドの名のもとに、その人間をコントロールできるのですから。
インターネットから情報を得て賢くなった人間は、情報の権化である人工知能にコントロールされてしまうのでしょうか。人工知能ビジネスのリーダーは、より人間に対する洞察を深め、効率化とはまた異なる軸でビジネスを設計して欲しいと切に願います。
またユーザー側も、高いAIリテラシーが求められます。本書はその強力な一助になるはずです。
またユーザー側も、高いAIリテラシーが求められます。本書はその強力な一助になるはずです。