文字通り、日進月歩の人工知能市場。日本ラッド社が、映像データをディープラーニングで分類する技術を発表しました。精度面も含め、徐々に向上されていくでしょう。

質実剛健な同社のAI参入を受けて、市場は敏感に反応し、株価は1週間で2倍になりました。百万長者がたくさん生まれたと思われます。

※先週の記事はこちら

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1.今週の人工知能ニュース

日本ラッドがAI(人工知能)を活用した映像解析インデックスシステムを発表
https://www.vanalyzer.jp/

日本ラッドが、6月1日付で、AI(人工知能)を活用した最新の映像インデックスシステムに関する発表を行いました。
これまで映像記録は、後から事象を検索することはできませんでした。しかし、機械学習・ディープラーニングを活用することで、映像ファイルの自動分析を行い、特定時点の場面に何が映っているかを自動的にラベル付けしてインデックス(目次)を作成出来るようになったとのこと。

AI・人工知能ワールド

http://www.content-tokyo.jp/ai/
6/29-7/1に東京ビックサイトで開催されます。コンテンツ東京2016の特別展示です。
現在申込み中。参加費無料。AIの無料セミナーもあります。
メディア・コンテンツ関係者、企業のマーケティング担当者は必見です。
 

日立、企業の経営判断を支援するAI開発

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160602-00000548-san-bus_all
企業の経営判断を支援する人工知能(AI)の基礎技術を開発。
ワトソンは、事前に用意した質疑応答マニュアルをAIに学習させて、日本語でAIに質問を回答が返ってくるというものです。いわば日本語の検索です。
この日立の システムは、事前に大量のニュースとかをAIに学習させて、日本語で質問を投げると、関連しそうなニュースを引っ張ってきて、賛否をネガポジで判断するというもの。
正直かなりすごい技術です。日立は、AIに5000億円投資しているだけあります。

2.今週の人工知能銘柄

今週は、特に市場の期待度が高い2社です。

株式会社日本ラッド(4736)

売上高 3,502百万円 営業利益 190百万円
時価総額 約60億円
PER27倍 PBR 6倍
平均年齢39.5歳 平均年収4,740千円
企業情報 独立系SI。流通や車載などハードとソフトの組成技術に強み。ビッグデータ、FPGAに注力

今月のマーケットの主役銘柄です。BtoBの業務システムを作っている会社です。いわゆるSI事業です。この会社の強みは、自社でSaaSサービスを積極的に開発していること、またハードウェアの制御システムを作れることに強みがあります。よって、IoTとの相性は非常に良い会社と言えます。

また、6/1に発表した映像インデックスシステムは、映像データをディープラーニングで分類する技術であり、実は人工知能銘柄であったことを世の中に認知させました。また、5/27の決算で、通期12億の赤字から3億円の黒字に転換が発表されました。その結果、比較的低いPERだった同社の株価は、ストップ高を演出しました。

同社の須澤社長は、実は生え抜きではなく2009年入社です。ラッド社は、技術の分かる経営人材を外から引っ張ってくる文化があり、同社の事業領域は、当初のSI[から、クラウド、IoT、AIと、世の中の技術トレンドに忠実に乗っかってきています。経営陣はかなり優秀そうです。


PERは27倍ということで、AI銘柄としては低めの水準と言えます。今週のストップ高に対する期待値の高さは、なんといっても映像インデックスシステムのベータ版開発です。今をきらめくディープラーニングを使っているところが素敵です。この技術はどういうものかというと、映像データを自動で分類し、目次を作成する技術です。

具体的に言うと、映像データを静止画像に分割し、静止画像に移っている対象物の名称をディープラーニングで出力します。併せて、標識や看板の文字があれば、それをOCRして出力します。これを連続で行うことで、映像データに目次を作成できるのです。

aipoly visionというアプリをご存じでしょうか。スマホカメラをかざすと、リアルタイムで物体の名称を教えてくれるアプリです。人口知能(おそらくDNN)を活用しています。同社の技術も類似したものと推測されます。

つまり、同社の映像インデックスシステムは、ディープラーニングの仕組みと、OCG技術を組み合わせ、クラウド上の分散処理技術を活用して高速計算しているというものでしょう。SI事業者らしく、技術を組み合わせてサービス化したと言えます。私が思うに、技術の高さもさることながら、目利きとスピードが同社のコアコンピタンスだと考えます。

◆転職先の視点
平均年収が低め。平均年齢は高めです。働きやすい職場だと思いますが、給料に満足できるかはその人次第でしょう。

転職先おすすめ度:★★★☆☆
 

データセクション株式会社(3905)

売上高 376百万円 営業利益 85百万円
時価総額 約91億円
PER896倍 PBR 9倍
平均年齢30.5歳 平均年収4,340千円 
企業情報:ビッグデータ処理・解析。特にSNS等ソーシャルメディアに強み。データ活用システムも開発。

ソーシャルリスニングの会社です。分析ツール、評価レポート、受託開発を行っています。同社のコア技術は、テキストマイニング技術であり、SNS上でのポジネガ分析や属性分析をすることが出来ます。
また、経営陣を見ればわかるとおり、技術力というよりは、ビジネスへの理解度で勝負している会社です。BtoBビジネスのため、顧客の業務知識などが求められますが、そこをしっかりカバーしています。

またディープラーニングを活用した「利用シーン発掘サービス」を提供しています。これは、SNSにある画像とテキストを一緒に分析して、現地の生活シーンを分析するというサービスです。いわばマーケティング調査の半自動化ツールですね。

市場方の高い期待値はどこから来ているのか。根拠としては、①提携先、②SNSの市場成長率、③AI技術あたりでしょうか。

①日本生命、ジャフコ、博報堂、DACなど、業界大手企業と提携しています。このあたりは本当に戦略がうまく、経営陣の優秀さを見せつけています。レバレッジを利かせて、今後大きく花開く可能性はあります。

②ソーシャルリスニング市場は、老舗のホットリンクやオプトなどがひしめく中、市場のCAGR(年平均市場成長率)は、10~26%の間と言われています。現在の市場規模は100億円。成長分野ではありますが、どこまでシェアを伸ばせるかは未知数です。

ソーシャルリスニングは、Twitterの検索自体は無料でできるため、分析技術での差別化が必要です。また、SNSに企業名や商品名が投稿されるのは大手企業くらいです。そして大手企業は、内部データをたくさん持っているため、内部データとSNSデータと紐づけして分析したいニーズがあります。この分野は稼げる領域ですので、同社のこの部分で収益化を狙うものと予想されます。

③ディープラーニングを使った利用発掘サービスは、マーケティング調査のツールであるため、ここでの大きな収益化は難しいのではないでしょうか。実はディープラーニングを活用してマネタイズできている会社は、ほとんどないと言っても過言ではありません。従来の機械学習をベースに分析コンサルしている企業の方が、より収益の道は近いと思います。同社の技術でどこまでマネタイズできるかが今後のカギです。

◆転職先の視点
平均年収は低め。仕事内容はマーケティングに特化しているので、この分野で勝負したい人にはお勧めできる会社。現在は攻めのフェーズであるため、特に新規事業をやりたい人にもお勧めできる会社です。

転職先おすすめ度:★★★★☆


3.大卒レベルになった人工知能と人間に残る仕事

「東ロボプロジェクト」では、マーチレベルの大学に入れるレベルになりました。
「日立」では、近々経営判断が出来るようになるそうです。

単純な業務はもちろん、経営レベルの複雑な事象に対していも、AIは人間の判断力を上回りつつあります。人間が明治大学に入るために、いったいどれほどの学習時間が必要か。

これだけ優秀なAIが現れたならば、人間は何が課題で、何を解決すべきかの問いを投げさえすれば、解決策はAIが出力し、人間がその指示通りに動くという社会がそこまで来ている。

こうなると、データ量、アルゴリズムに加え、いかに質の良い質問を投げかけることが出来るかが、経営の差別化になると思われます。

アインシュタインは、「60分間で、これから出す問題についての解決策を見つけなければお前の命は無いと言われたら、どうするか?」と聞かれたとき、「55分間は、適切な質問をするために使う」と答えたといいますが、

ビジネススキル=質問力

の時代になるのかもしれません。

質問力とは、言葉を変えると、課題設定力ともいえます。問題を発見する力ともいえるでしょう。

どうやったらこの力を学べるのか。
その答えの一つは、新規事業を行うことです!
なぜなら、新規事業=問題発見+問題解決であり、特に問題発見により価値が置かれる業務だからです。ほとんどの会社員は、この能力を学んでいないため、大きく差別化できる分野でもあります。

英語の会計スキルも近々AIに取って代わられるんです。でも問題発見だけは、置き換えられない。人間の必要性の最後の部分になるかもしれません。また、その人こそAIを最大限活用できるビジネスマンだと思いますし、そういったビジネスモデルを描くことが、新規事業担当者の仕事になるでしょう。

問いの投げ込み、解くべき課題の明確化、構造化あたりはまだまだ人間の仕事として残りそうです。




※当記事は特定の銘柄の購入を誘導するものではありません。投資は自己責任で行ってください。また、内容は信頼性を保証するものではありません。
※時価総額、PER、PBRは、掲載日前後の株価をもとに掲載しております。