半年前にNRIが、「10-20年後に日本の労働人口の49%、人工知能で代替可能」という試算を出しました。これだけ聞くととても恐怖を感じます。なにしろ仕事がなくなって生きていけなくなるかもしれないからです。

そこで知りたいことは、
「この人工知能全盛時代に向けて、私たちはどこに向かえばいいのか」
ということです。


多くの有識者が論じてくれていますが、結論的には、
「ベーシックインカムが導入されるから、人間は仕事をしなくてよい」
ということでした。

確かにベーシックインカムが導入されれば、それで皆ハッピーになれると思うのですが、 
もしベーシックインカムが導入されずに、 仕事だけAIに奪われたらどうするのか
という不安です。


そこで考えたことは、「市場を観察することで、次の世界が見えてくるのではないか」ということです。市場は嘘をつきません。そこにはお金を稼ぐために、常に最適化された世界が広がっています。
そのため、人工知能関連の市場を追い続ける中で、人工知能全盛時代の世界が見えてくるのではないかと仮説を立てました。

このブログでは、「週刊人工知能(AI)市場」 というテーマで、人工知能市場を、投資家と労働者の2つの視点から追い続けていきたいと思います。

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1.今週の人工知能ニュース

ソニー、米国Cogitaiに資本参加し、次世代の人工知能に関する研究開発を共同で推進


キヤノン、人工知能搭載ロボット「Kibiro」をコンシェルジュとして採用


羽生善治名人、人工知能と対戦か 「叡王戦」予選へ

http://www.huffingtonpost.jp/2016/05/22/habu-yoshiharu-ai_n_10099750.html


ソニーは、センサー技術とロボットでは先行している企業です。かつてアイボというロボットがおりまして、顔認証や音声認識ができる優れモノでした。

今度は、そのロボットの頭脳たる人工知能について、米国の投資先と共同研究を行うようです。
具体的には、深層強化学習というディープラーニングの強化学習というアルゴリズムについて研究するそうです。

ディープラーニングは、対象データの特徴選択を自動化できますが、パラメータ設定が非常に大変です。こういった問題に一石を投じることが出来るのでしょうか。


2.今週の人工知能銘柄

株式会社ブレインパッド(3655)

売上高2,712百万円 営業利益149百万円 時価総額 73億円
PER56倍 PBR 5.8倍
平均年齢33.9歳 平均年収6,100千円
企業情報 企業データを分析し販促に活用するデータマイニング提供に強み。関連ソフト開発や販売も。

いきなり本命銘柄です。ブレインパッドさんです。 
優秀なデータサイエンティストを60名抱える、AI銘柄の主力企業の一つです。
パッケージや分析基盤もにも取り組んでいますが、データ分析コンサルティングに強みを発揮しています。

市場からの期待値は高いです。その期待値はどこから来ているのでしょうか。

一つは、事業領域が、データ分析市場であり、単純に市場規模が2020年には今の2倍に成長するからでしょう。もう一つは、データサイエンティストの人材の質だと思います。データサイエンティストは一朝一夕には育ちません。一方経済産業省が主張しているように、日本ではデータ分析の素養がある人材が極端に少ないです。つまり、優秀なデータサイエンティストそのものが、この企業の価値と言えるのではないでしょうか。

◆転職先の視点
転職先として見ると、この会社はとても魅力的です。
ここで3年経験を積めば、データサイエンティストとしては一人前になれるでしょう。
年収も比較的高水準です(労働価値に比べてまだ低い気がしますが)。

転職先おすすめ度:★★★★★


株式会社アドバンスト・メディア(3773)

売上高1,822百万円 営業利益△478百万円
時価総額 約161億円 
PER-倍 PBR 3.4倍
37.7歳 平均年収 5,970千円 
企業情報 音声を文字変換する独自技術核にした各種業務用ソフト開発が柱。文字起こしサービスに参入

音声認識の老舗です。企業のコールセンターでの議事録作成などで活用されています。シェアは国内1位です。

音声認識技術の中で、音響モデルというのがあるのですが、この部分にディープラーニングを導入することで、 認識率を高めることに成功しています。分析用のデータも大量にありますし、50音の波形から何かを選ぶというのはディープラーニングが得意そうな分野だと思われます。

企業向けサービスが柱ですが、この分野ではフュートレック社とシェア争いを繰り広げています。
また、ご存じのとおりGoogleが無料で音声認識できるサービスを提供しました。
そのため、収益化が難しい事業領域になったと言えます。

Googleの脅威を前にアドバンストさんは、声を使ったコミュニケーションと事業領域を定義され、コールセンター以外にも営業担当者の議事録作成(営業担当者がスマホに声を吹き込むことで、簡単に議事録ができる)や、ホームページのコンシェルジュサービスに参入しました。

そこで泣く子も黙る三菱東京UFJ銀行に、AI音声対話アプリ「バーチャルアシスタント」として採用されました!今は日本語だけのようですが、そのうち翻訳もできるようになるでしょう(多分2020年くらい) 。音声認識冬の時代にも、コツコツと技術を蓄積し、業務知識を蓄えた結果だと感じます。

◆転職先の視点
アドバンストさんは優良企業です。社風も待遇も悪くありません。
しかし、転職先としてみた場合、あまりお勧めできません。なぜか。 

音声認識技術という分野は、データが言葉であるため、極めて汎用的なデータです。
そのため、技術的には認識率という要素でしか図られなくなり、業界は寡占化されます。
この分野でいうと、アドバンストさん、フュートレックさん、NTTさんあたりでしょうか。

そして業界が寡占化された場合、 転職先の候補が少なくなってしまいます。
つまり、音声認識技術という素晴らしい技術は、汎用的スキルというよりは一部の高度なスキルであり、転職市場では非常に厳しい戦いになってしまいます。
そのため、特にエンジニアの方の転職の際は注意が必要です。

転職先おすすめ度:★★★☆☆
 

3.人工知能を脅威と見るか機会と見るか

これからの10年間、人工知能を脅威と見るか機会と見るかで、その人の生き方が大きく変わってしまうかもしれません。

例えば、「人工知能に仕事を奪われるならば、逆に人工知能を活用する方に回れば大儲けできるのではないか?」と考える人もいると思います。
その人は、人工知能を作る会社やデータ分析の会社に行くでしょう。

また、「人工知能に奪われない仕事に就こう」と考える人もいると思います。
その人は、コミュニケーションやデザインをする会社に行くかもしれません。

もしくは、「人工知能銘柄に投資して、投資家として成長市場の恩恵を受けることにしよう」と考える人もいると思います。その人は、人工知能銘柄に投資するでしょう。

どれも間違っていないし、どれも正解だと思います。


人工知能とは何か。
それは、「データから規則性を発見し、予測モデルを作る技術」のことです。
この予測するということが凄く、言葉を変えると判断力のことですが、
この判断力が、囲碁や将棋では人間を超えるレベルまで来たという事です。

医者の診断も判断です。弁護士の判例も判断です。会計士の監査も判断です。
付加価値の高い仕事ですら、いや付加価値が高いからこそ代替による投資効果を求めて、人工知能が入ってきます。

この流れは止まりません。ならば、この流れを機会を捉え、各人が次の成長戦略を描いていくことが大切なことではないでしょうか。


幽霊は知らないから怖いのです。人工知能も知らないから怖いんです。
なんだこんなもんかと思えれば、怖くもなくなり、むしろ道具として使いこなすようになるでしょう。
その人が次の時代のリーダーになるのかもしれません。

このブログがその一助になること信じて。





※当記事は特定の銘柄の購入を誘導するものではありません。投資は自己責任で行ってください。また、内容は信頼性を保証するものではありません。
※時価総額、PER、PBRは、掲載日前後の株価をもとに掲載しております。