サラリーマンは、非常に安定した身分です。

その地位は法律で守られており、給与水準は海外と比べても高く、福利厚生も手厚いです。加えて日本企業では、人材育成の意欲も高く、研修とOJTの組み合わせで、多額の育成投資をしてくれます。これほど守られ、恵まれた身分は、世界の中でも類を見ません。これには多くのサラリーマンが同意してくれるものと思います。


サラリーマンの最大のリスクとは

IT革命が叫ばれ、インターネットが拡大し、情報の処理や伝達業務を行うホワイトカラーの価値は大幅に半減しました。加えてグローバル化により、海外への安価な労働力を活用することが可能になりました。クラウドソーシングによって、外部委託が手軽で安価にもなりました。

それでもサラリーマンの身分はまだまだ安定しており、大企業では年収800万円を超える人たちが大勢います。職の安定という意味では、中堅企業でも大きく変わらないでしょう。

では、今の時代において、サラリーマンの最大リスクとは何でしょうか?職が奪われることでしょうか?年収が下がることでしょうか?

いえ、リストラされても年収が下がったとしても、転職すれば良いだけです。転職市場は成熟に向かっており、特に現在では、年齢が高い層の転職も市民権を得ています。若手層の転職ならばなおさらでしょう。

では最大のリスクは何か。それは物事を自分の頭で考えられなくなること、思考力の低下です。

なぜ思考力が低下するのか

サラリーマンは、上司の指揮命令の中で動いています。上司の指示には従う義務があり、その指示通りに仕事をすることが求められています。一般企業の就職面接で最も求められる力は、コミュニケーション力(笑)ですが、これは上司の指示を理解して、上司の指示通り動ける人材を企業が求めているからです。
(ちなみにオーナー企業が直接面接する場合は、能力や自頭や創造性など本当の能力が見られることが多いです)

つまりサラリーマンは、何をするのかというWhatの思考は求められず、どうやれば指示を実現できるのかというHowの思考だけを行います。
そのため事務処理能力や実行力は会社で身に付きますが、ビジョンの設定や経営戦略など上位レイヤーについての思考力は全く身につきません。会社が与えてくれるから、大多数のサラリーマンは思考する必要がないのです。

これは極めて怖いことで、要は物事の善悪を考える力を失うことと同義です。学生時代に自由にものを考えていた人も、会社に入ると自分の立場で考えるようになり、急に小さな思考しかできなくなります。

この話を嘘と思うでしょうか。ではいくつか質問させてください。


あなたはどんな仕事をしているときに楽しいと感じますか?
あなたは5年後にどうなっていたいですか?
あなたの将来設計を簡単に教えてくれますか?
あなたの強みと弱みを3つづつあげてもらえますか?
あなたは今の会社でどんな価値を提供していますか?


難しいことは聞いていないつもりです。あなた自身のことについて聞いています。もし20代後半以降の立派な社会人が、一番情報を保持している自分自身についての質問にも答えられないならば、それは思考力の低下以外の何物でもないでしょう。つまり、会社の立場でしかものを考えられなくなった無能という事です。


リスク対処法は副業と新規事業を始めること

奴隷は思考力を求められていません。考えず、指示に従うことを求められています。一方サラリーマンは、Whatの思考力を求められていません。いわば半分奴隷です。

リスクへの対処法は、簡単です。要は、Whatを考える仕事をすればよいのです。方法は2つあります。

①副業を始めること
②新規事業を始めること

①の副業を始める場合は、自分でミッション、顧客ターゲット、事業内容を考えることが求められます。
また、②の新規事業を始めることは、Whatを考えることに繋がります。どんな新規事業を行うか考えることは、それ自体がWhatを考えることに繋がることだからです。忙しいサラリーマンにとって、新規事業を始める事の方が現実的かもしれません。


各立場において求められる思考力をまとめます。
奴隷        5+8=◇
サラリーマン    ○+△=13
新規事業/副業    ○+△=◇


奴隷の仕事はただ単純に数字を足すような単純作業であり、サラリーマン(ホワイトカラー)は目標を達成するために問題解決します。新規事業や副業など自分の事業を行う場合は、GOAL設定とその問題解決の両方の思考が求められます。

もしあなたが新規事業を始めたいならば、こちらの本が参考になります。また、新規事業業務に転身したい人は、こちらを参考にしてみてください。



要は自分の事業を持ち、そこで思考錯誤することです。そこでの悪戦苦闘は脳と精神を鍛えます。結果、そこには奴隷ではなく、手ごわいビジネスマンに成長していることは間違いありません。
世の中にとってどちらが必要な人材かは論をまたないでしょう。それは結局のところ、会社の中でも同じであるはずです。