新規事業の支援をしている中で、一番多い問い合わせに対するエントリー。

「企画書のつくり方が分からない」
「企画書を作ったことがないので、代わりに作ってほしい」



確かに企画書というと、難しいイメージがある。市場のこと、自社のこと、競合のこと、多くのことを記載しなければいけないように思えるし、過去に例のない企画について、何も知らない上層部に理解と協力を求めていかなければならない。はっきりいって難易度は高いのだろう。

最初に結論だけ書いておく。

企画書 = 企画{問題発見 + 問題解決} + 提案書

企画とは何か

IT企業の営業担当が、顧客との打ち合わせの中で、現在手書きの業務日報をファイリングしているが、後で見返すのが大変という話を聞いた。自社にそれを解決できるサービスがなかったので、新しくOCRソフトのサービス化を自社に提案した。めでたく商品化され、顧客に提案し顧客も喜んだ。

これは"企画"である。そして理解して頂きたいことは、手書きの業務日報の見返しが大変という問題発見の部分と、そのOCRソフトという問題解決の部分の2つがあるということだ。この2つがあって初めて企画と呼ばれる。


企画書は自分に協力してもらうための嘆願書

私のライフワークは企画である。日々何をしているかというと、市場やサービスや競合について、あらゆる角度で考え、洞察をしている。なぜか。物事に対する単純で一面的な捉え方では、人々を納得させることは出来ないからだ。
特に現代は、あらゆる意味で社会が多様化し、複雑化している。そのため、原理原則は堅持しつつも、柔軟に深く考えることが必要となる。

実は企画の仕事の8割は、ステークホルダーへの協力依頼だ。

特にどうやったら最初のステークホルダーである自社の上層部は協力してくれるのか。そのために、この企画を行うことで、収益が生まれることを証明することが求められる。

「このOCRソフトは20億円の売上を生みます!顧客は必要としているし、技術的にも低コストで実現できるし、競合にも勝つことが出来ます!」

ということを数字とロジックで説明することになる。この資料が企画書だ。
だから企画書で最低限必要な項目は、以下の5つとなる。

1.顧客の課題
2.解決するソリューション
3.自社と競合のポジショニング

4.原価
5.売上予測

企画書はなぜ受け入れられないのか

どんなに優れた企画書を作っても、聞き手が理解できなければ否決される。聞き手がこの予測通りにいかないと判断したら否決される。聞き手が想定するリスクを超えていれば否決される。聞き手が担当者の能力不足を感じたら否決される。

企画書は提案書である。上層部に未来を提案している。だから、相手の情報は徹底的に理解しなければならないし、会社の経営戦略から外れた企画などは論外である。
ただ上記を想定して対策して企画書を提案したとしても、否決されあまつさえその人自体が潰されることもある。

ガリレオ・ガリレイはなぜ裁判で有罪となったのか

分からないこと、未知のことを伝えることの難しさは、多くの人が理解してくれると思う。それは抽象的思考が求められるということ以前に、未知なことに対して、人は本質的に恐怖を覚える。人間が幽霊におびえるのも、幽霊が未知だからおびえるのである。人間の危機管理能力が、起こりうる最悪の状態まで想定してしまうのである。

ガリレオ・ガリレイは、世界で初めて地動説を主張した。当時ガリレオは、パドヴァ大学の教授であり、大きな権威をもっていた。その権威をもった人間が、地動説という良く分からない、しかも教会の権威を脅かす可能性のある説を主張し始めたのだ。周囲の人は理解できないし、本質的に恐怖を感じただろう。その恐怖は、その秩序の中の上位層になればなるほど感じたはずだ。

だからガリレオは有罪になったのだ。未知はとりあえず否決する。これは人間の優れた危機管理能力だ。企画に携わる全ての人に幸せがもたらされますように。