ここで一つの仮説を提示したい。

仮説:大企業が単独で新規事業を成功させることは不可能である。

理由は3つある。


理由①:新規事業と既存事業の文化が異なるから

既存事業で収益100億円上げてる時に、将来の1億円に本気になって取り組める役員はどれだけあるのだろうか?

理由②:人材がいないから

細分化された業務歯科行っていない大企業の構成員に、新しい事業創造は不可能である。そのような教育は受けていないし、今後も受けることはないだろう。

理由③: 単独でやろうとするから

これだけ世界が小さくなっている中、単独で収益化出来るほど世の中は単純ではない。



つまり、大企業で新規事業を成功させることは不可能である。理由①と②については、大組織の宿命であるため今後の修正は不可能だが、理由③については改善の可能性がある。そのため、業務提携を成功させるためのコツのようなものを以下に述べる。


ポイント① :補完型の提携であること

業務提携の本質は、補完である。1つのビジネスモデルを2社以上が補完し合う事が、業務提携の本質である。 強みを生かし合う相乗効果を狙う事もあるが、ぶつかり合って失敗する確率80%である

ポイント②:同じベクトルを向けること

同じGOALに向けて、同じ方向を見て動くことが出来るか。 シナリオを共有し、相互で課題解決が出来るか。ちなみに請負業務は提携ではない。下請けは元請けからお金を1円でも多く奪う事が目的であり、同じ方向を向くことが出来ていない。

ポイント③:資本提携ではなく業務提携であること

業務提携は繋がりが緩い。資本提携は繋がりが強い。業務提携で事業を進めることは難しく、資本提携で事業を進めることは比較的容易だ。しかし、これは資本提携が事業として成功しやすいかを意味しない。失敗の方向にずるずる進んでしまう危険性が大きいのが資本提携である。世の中の資本提携の90%は失敗している。数年で任期が終わるサラリーマン経営者が派手なことをしようとして、投資銀行に半分騙されながらM&Aするのである。3年以内に改善した企業買収や資本提携はほぼない。

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業務提携は機密情報のため、世の中にほぼ情報が出回っていない。しかし足元では数え切れないほどの提携交渉が進んでいる。もう飽和状態の市場で生き残っていくためには、ここにしか活路がないのだと思われる。

 
成功する企業提携
西村 泰洋
エヌティティ出版
2007-11-28