起業や新規事業の成功確率は、20~40%と言われています。将来を託した事業が潰れることは、会社にとっても大きなダメージがありますし、経営者や社員も致命的なダメージを受けます。私の事業開発の成功率も40%であり、特に高いというわけではありません。なぜこんなに失敗してしまうのでしょうか?どうすれば成功出来るのでしょうか?個人的に3つの壁があるなと思います。


1つ目の壁:着目した課題が顧客にとって重要ではない。
企業が顧客のヒアリングなどから課題を発見し、それを解決するサービスを開発したとします。確かに他の顧客から話を聞いても、もしそのようなサービスがあったら欲しいという発言をしています。成功間違いなしと思えます。しかし、この場合ほとんど失敗してしまう事が多いです。なぜか?

その着目した課題が、顧客が本当に重要な課題かどうか検証されていないからです。
顧客課題の重要度が高ければ、お金を払ってでもそのサービスを購入するでしょう。しかし、もしそこまで重要な問題でなければ、サービス購入コストに、導入による業務変更対応、マニュアル作成等の稼働をかけてまで導入するでしょうか?

顧客課題の重要度 > 顧客の総コスト

上記の不等式が成り立たなければ顧客は購入しません。ぜひ顧客にこの質問をしてください。
「もしこの商品が無料でしたら導入してもらえますか?」 

2つ目の壁:ビジネスモデルが片手落ちになる
ビジネスモデルは、事業内容を構造化したものです。新規事業とは、このビジネスモデルの仮説を作り、内容を検証することが主な作業です。しかし、このビジネスモデルがやっかいで、構成要素が大きく9つあります。

顧客セグメント、チャネル、顧客との関係性、価値提案、リソース、主な活動、パートナー、収益、コスト。この9つを整理し、組み立てることが必要です。

このうち一つでもうまくいかない場合は、事業は成功しません。

しかも、ビジネスモデルは、顧客面を考える営業スキル(右脳思考)と、技術・サービス面で考える技術スキル(左脳思考)の両方が必要です。
そのため、一気にビジネスモデル仮説を具体化することは危険であり、リーンスタートアップでこまめに検証することの重要性が説かれています。

あえてビジネスモデルを簡略化すると、下記の方程式になるでしょうか。

ビジネスモデル=人を集める仕組み × 顧客価値 × サービス開発 

3つ目の壁:商品が売れない
世の中になかった新しい商品やサービス、山のものとも海のものとも分からない商品、一体だれが買うんでしょうか。いや買ってくれる人がいます、アーリーアダプターと呼ばれる人たちです。彼らは新しいこと自体に価値を感じ、商品を買ってくれます。こういう奇特な方が市場の10%程度います。彼らを掴むことがまず大事なことの一つで、もうひとつはこの後キャムズという名の壁を超える必要があります。

これは何かと言うと、アーリーアダプターの人達は新規性に価値を感じて商品を買ってくれるものの、他の大多数は冷静に投資対効果や品質水準を評価しており、彼らの求めるニーズが異なるという事です。

ここからが本当の意味で営業の出番です。この商品が、顧客の本質的課題を解決し、顧客があるべき姿に近づくことを支援し、投資対効果が得られ、フォローアップで低リスクであるということを論理的に説明してください。アーリーアダプターの成功事例があると説得力が増します。



補足すると、上記の壁を超えるポイントは、"人"ですね。これはつくづく思う事です。起業家や新規事業担当者の熱意とスキル、同じベクトルを向ける事業パートナーとの提携、この2つにかかっているなと思います。人材育成については、また別途記述したいと思いますが、まずは起業や新規事業のhowを学ぶことが第一ではないでしょうか。

参考書籍