日本の大企業は素晴らしい組織だ。
週5日会社に行くだけで、自動的に給料がもらえる。
法律で地位が守られているため、首になることはない。
まず潰れない。日本の大企業は、海外と比べて極めて寿命が長い。
JALや東電のような例はあるが、全体の数からみればごく一部。
給与は中小企業よりずっと高い。赤字でもボーナス出る。福利厚生も手厚い。
高いステータス。合コンでモテる、世間から尊敬の目で見られる、両親や親族も喜ぶ。
高い育成投資額。長期間の研修とOJTの組み合わせで、新入社員一人当たり数百万数千万の投資をしている。新入社員は、基礎からみっちりビジネスを教えて貰える。

つまり、就活で頑張って大企業に入れば、高給、安定、高評判、長期の育成機会を手に入れることが出来る。こんな素晴らしい組織は、世界広しと言っても日本の大企業(優良企業)くらいなものだろう。
就活生はそれを良く知っている。だから、世の中がどれだけ中小に目を向けろと言っても大企業を志望する。

しかしだ、しかし大企業に入ることで失うものやデメリットもある。
まず、基本的に業務は細分化された業務しかやらせてもらえない。大企業は、業務を細かく細分化し、ノウハウを蓄積して業務効率をあげている。だから社員は全体感が見れず、視野が狭くなりがちになる。
全体を見渡す業務や最上流の業務経験を積む人もいるが、そんな人は全体の1~2割だ。ほとんどの人は、ある特定の顧客に特定のサービスを提供するために、ある特定の業務をひたすらこなすのだ。それを一生かけて続ける。40年間。まさにお客様は神様である。

もちろん社内異動という手はある。しかし金融など一部を除き、一般的に社内異動は多くは無い。なぜなら、異動することで、今までその人が蓄積した社内業務ノウハウが無駄になり組織効率が悪くなる。組織の競争優位を自ら捨てるようなものだ。そのため、たとえ異動しても似たような業務をやらされることがほとんどだろう。つまり社員の業務内容を大きく変えるという力が、大企業では働きにくい。

もし社内でしか通用しない細切れ業務をひたすら続けていくとどうなるか。
それは、市場価値の棄損、好奇心と考える力の衰退、変化対応力の大幅な衰退という結果になる。
高給、安定、高ステータス、育成機会を求めて入ったはずの優秀な新入社員は、気がつくと外で通用するスキルを持たず、自分の頭で考えられず、変化に対応できない不良債権となり果てる。

誰が悪いのか。いや誰も悪くないはずだ。企業も新入社員もそれぞれが"最適"な選択をしてきた結果なのだから。
そして、優秀な人材を飼殺しにする日本では、イノベーションがまったく生まれなくなってしまった。現状の延長線上にある改善活動では、もう今の事業環境では生き残れない。

革新、創造、イノベーション。
やや手垢がついた言葉だが、今の日本に必要なのは、まさにこのキーワードを実現する組織と人材だ。
 



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