ここになかなか優秀な大企業の若手社員がいます。彼は旧帝大か早慶あたりを卒業していて、職場では程良い人間関係を構築出来るレベルのコミュニケーションがあって、担当業務で一定の成果を出せます。また、ビジネスに興味があり、外部のセミナーや交流会に参加しており、株式投資で市場の感覚を理解しています。


こういう社員は、比較的恵まれた環境で仕事が出来るでしょう。若くて優秀な社員はどの企業でも必要とされており、また将来を担う人材として比較的大切にされています。ここで良くあるのが、自分は優秀なので力試しをしたいとか、早く成長したいなどの理由で、急成長中のITベンチャーなどに転職することがままあることです。

大いに結構です。ぜひやってください!

あなたを育てるために、いくら投資されているか考えてみてください。
両親からは800~3000万円の教育費用が投資されています。国公立であれば国からかなりの税金を投資しています。そして、企業もあなたを育てるために数百万数千万の研修費や育成費を投資しています。両親、国、企業が数千万円以上を投資してあなたを育てたからこそ、今のあなたがあるのです。だからあなたは、論理的思考や数理的思考に耐えられるレベルの頭脳を得たのです。

あなたには世の中を良くしていく使命があるのです。ぜひベンチャー企業に転職し、新しい事業を立ち上げるために力を尽くしてください。特に、東大京大の工学系の院を卒業し、メーカーの研究開発部門に居る方。あなたを育てるために、国は1億円以上の税金を投下しています。あなたは日本の未来そのものです。ぜひともイノベーションを起こすために、身を粉にして働いてください。


さて、現実的にベンチャーに転職するとどうなるのか。まず転職は容易です。簡単に転職できます。問題は転職した後です。シナリオは5パターンあります。

新卒⇒大企業⇒ベンチャーのシナリオ

①ベンチャーで数年働き、その後起業する。成功。 ・・・4%
②ベンチャーで数年働き、その後起業する。失敗。 ・・・6%
③ベンチャー勤務。自社や転職先で出世し役員へ。 ・・・25%
④ベンチャー勤務。出世せず。転職しても年収変わらず。 ・・・50%
⑤ネガティブな理由で退職。まともな就職先見つからず。 ・・・15%

①は成功例です。大企業の人脈と、ベンチャーでオペレーションを学んだ人は成功確率が高いです。
②は失敗例ですが、大企業時代の人脈を使って、請負仕事を貰ったり、別の転職先を探すことも出来るでしょう。
③は成功例です。大きなやりがいと権限を与えられ、楽しく仕事をするでしょう。
④は失敗例です。起業する勇気もなく、かといって大企業に戻ることもできず、大企業を辞めたことを悔いながらベンチャーで仕事を続けます。ベンチャーですから、仕事は大変で収入も低いです。奴隷のように働かされます。
⑤はベンチャーが忙しすぎるとか肌に合わないなどですぐに辞めてしまうパターンです。職歴はあるので、再就職できないことは少ないですが、すぐに辞めてしまうと職歴に傷がつき、再就職が難しくなることがたまにあります。

昨日の日記のベンチャー企業に入社したシナリオと比較すると、大分ましになっていることが分かります。大企業で職歴、人脈、スキルを蓄積しているので、その分リスクヘッジになっています。ただ、大部分の65%は、大企業を辞めることで収入を落とすことになるでしょう。リスクは抑えられているものの、決して低いとはいえません。

新卒⇒ベンチャーのシナリオ

①ベンチャーで経験を積み、数年後起業する。成功。 ・・・2%
②ベンチャーで経験を積み、数年後起業する。失敗。 ・・・8%
③ベンチャー勤務。自社や転職先でガンガン出世し役員へ。 ・・・10%
④ベンチャー勤務。低い年収。転職してもベンチャーのみ。 ・・・50%
⑤ネガティブな理由で退職。まともな就職先見つからず。 ・・・30%


では何がベストなシナリオなのか。その答えの一つが大企業の中で新規事業を興すことです。その場合のシナリオは5つに分かれます。

新卒⇒大企業⇒新規事業のシナリオ

①新規事業立ち上げ。成功。別会社化し子会社社長または役員へ。 ・・5%
②新規事業立ち上げ。成功。事業部に戻り出世コースへ。 ・・・25%
③新規事業立ち上げ。失敗。経験を活かし社内や転職先で出世し部長へ。 ・・・20%
④新規事業立ち上げ。失敗。通常業務に戻る。出世せず。 ・・・40%
⑤新規事業立ち上げ。失敗。社内に居づらくなり退職。 ・・・10%

①は成功例です。新規事業のGOALと言えます。
②も成功例です。成功した実績を買われ、出世コースに乗るでしょう。大企業の役員に1人はこういう人がいます。
③は失敗例であり成功例です。新規事業を立ち上げた経験は貴重です。プチ社長としてゼロからビジネスを立ち上げる中で、学び、考え、判断を下してきています。また、大事なところですが、新規事業を人材育成の一環としてとらえている企業は多いです。主体的な失敗経験は人を育てます。例え事業が失敗しても、担当者やチームがが育てば良いと考えているのです。
④は失敗例です。ただ特に失うものはありません。良い経験を積んだだけです。
⑤も失敗例です。失敗の責任を取らされて、傍流部署異動や子会社転籍などの制裁人事をあびます。

数字の%は感覚値ですが、新規事業を立ち上げて得する人50%、変わらない人40%、損する人10%です。事業リスクは会社が持っているけれど、実際の事業は人が行い、経験値は人に流れているためこういう事象が起きます。たとえ失敗しても良いのです。いやむしろ1回は失敗した方が多く学べるでしょう。未来は大きく開かれています。

問題は、大企業で新規事業を起こすためのハードルがやや高いことです。どうすればいいのか。一言で言うと、

「日々の仕事で成果を出して、上長から信頼を得て、社内にアンテナを張り、社内の動きに合わせた企画を定期的に出すこと。」


企画の方向性だけでも認めてもらえば、「じゃあお前がやれ」と言われることが多いです。
ぜひ新規事業を興しましょう。小さくは自分の為、大きくは世の中を少しでも良くする為に新しいサービスを生み出しましょう。

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