企画の仕事は何のスキルも身につきません。

理由は3つです。
①調整業務が主な仕事になる。
②営業や開発の間のポジションなので中途半端になる。
③9割のプロジェクトが失敗するため完遂経験が積みにくい。

企画業務というのは、キャリアをある程度積んでからやるべきで、新卒から携わると大半が中途半端なゼネラリストという落とし穴に落ちます。

そして、そもそも企画職の人間は、世の中から必要とされていません。

受託ビジネスでは企画職はいらない


一般的な受託ビジネスは、以下のプロセスです。

①営業が顧客のニーズを聞いて提案書を作成する。
②営業が受注する
③顧客と仕様を詰める。
③仕様を元に開発が設計書を作る。
④設計書を元に開発・試験する。
⑤納品


上記の場合、企画職の出番はありません。
①のフェーズの時に、コンサルが入る場合はあっても、企画職の出番はまずない。

企画の仕事は営業と開発の調整業務


一応出番があるのは、会社が自社のお金でパッケージ商品やクラウドサービスなど自社サービスを開発する場合です。自社サービス開発のプロセスは以下の通り。

①アイデアを出す。
②アイデアを評価し、商品コンセプトとしてまとめる。
③商品コンセプトが正しいか、市場と技術の両面で検証する。
④実際に商品を開発し、顧客に営業に行く。


こうなると、企画職の出番です。アイデアを出して、コンセプトにまとめ上げ、検証し、商品化を推進する。なんとも楽しい作業です。しかし、良く見てみると、営業職や開発職で代用できる業務であることに気付きます。

①アイデアを出す。
⇒顧客に接している営業や技術を知ってる技術屋の方がアイデアを持ってる

②アイデアを評価し、商品コンセプトとしてまとめる。
⇒提案書とか作っている営業の方が、評価したりまとめる力がありそう

③商品コンセプトが正しいか、市場と技術の両面で検証する。
⇒市場を知ってる営業職の方がニーズを評価できるし、実現性は開発部の方が評価できる

④実際に商品を開発し、顧客に営業に行く。
⇒開発部が商品開発し、営業が売りに行く出番


「企画職の人間いらなくないですか?どこで付加価値出してるんですか?」という声には、妥当性があります。


ただもう一度プロセスを良く見てください。一つ一つの作業は営業や技術屋で出来る作業なんですが、それぞれの作業が密接にかかわっていることが分かると思います。

特に③の場合、この機能はいらないとか、この機能は実現できないとか日常的に起きます。そして、営業は営業部の都合、技術者は開発部の都合を優先します。そうなると、毎回会議が紛糾し、プロジェクトは暗礁に乗り上げます。

こうならないために企画職はいるのです。つまり、営業と技術の利害を調整して、企画の実現に向けて旗を振ること。企画の価値は調整です。「いなくてもいいけど、いれば便利」な存在です。

企画職は市場価値の低い人材に


企画職として成果を上げるには、主に3つのスキルが必要です。
①営業職と話が出来る、ビジネスを良く理解している
②開発職と話が出来る、技術を良く理解している
③旗振りが出来る、企画プロセスを良く理解している

企画職は、営業と開発の両方知らないと出来ません。そして、企画プロセスと言うか、どうやれば商品化まで持っていけるかについても、理解している必要があります。

まあでも企画職は中途半端なんですよ。企画プロセスの理解は、3カ月もあれば理解できます。まずは営業職として、もしくは開発職として、じっくりキャリアを築くことが第一です。その後企画をやりたいと思ったら、有名な本でも読んでサクッと学んでいけばいいのです。

現場からは以上です。